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グライソン炭鉱の事故から10年:命がけで救助に当たった男! (BBC-News, Sep 14, 2021)

Rescue workers during the Gleision colliery disaster

 あれから、かれこれ10年になる。Wales南部「Neath Port Tablbot (ニース・ポート・タルボット)」の小さな村「Cilybebyll (カラベビル)」に、小さな炭鉱「Gleison colliery (グライソン炭鉱)」があった。

 

 2011年 9月15日。その日の午前 9時頃、坑夫 7人が、地表から深さ約900mの沿層坑道(drift)で爆破作業の準備をしていた。炭鉱の中は暗くて狭く、埃が舞い上がって息苦しい職場だ。そこで、隣の坑道に空気の抜け道を作って、通気を改善する作業に取り組んでいたのだ。ドリルで空けた壁面の孔に火薬を詰め込んで、爆破スイッチを入れた。

 

 ところが、爆破でつながった隣の坑道は、以前、水没させて廃棄した坑道だった。瞬時に、坑内の作業空間には大量の水が流れ込み、坑夫 7人は生き埋めになった。

 

 そのうちの 3人は、からくも救出されて病院に運ばれ、一命をとりとめたが、残る 4人は、生きて地上に出ることはなかった。なんとも痛ましい事故だった。

 

 今も、心に深い傷跡を残すのは、当時、「mines rescue officer (鉱山救助官)」として現場に駆けつけ、実際に救助作業に当たったMr Stuart Richardson。Stuart Richardson

 地下にもぐって、まっさきに取り組んだのは、水抜きだった。とにかくポンプで坑道の水を汲み出す作業だ。そして、狭い沿層坑道を くまなく、400mにわたって行方不明の 4人を探した。

 

 水を汲み出した直後の坑内は、瓦礫と泥の山と化しており、さらに支柱は流され、天盤はもろく、今にも崩れ落ちそうだった。石炭だけがキャップランプに照らされて、不気味に輝いていた。

 

 それでも、救助隊は、埋もれた坑夫を助け出そうと、必死で前に進んだ。そして、ようやく、瓦礫の中から、1人の坑夫の派手な色の作業着を発見することに成功する。残る 3人には、奇跡が起こって、助かってくれればと祈りつつ、再度探し回った。家族のもとに無事に帰り、一緒に夕食の食卓につけることを願って...。

 しかし、残念ながら、行方不明の 4人は、二度と家族のもとに帰ることはなかった。その後、帰路についたレスキュー隊は、クルマのなかで、みな泣いていたという。Rescue workers during the Gleision colliery disaster

 Mr Richardsonは2015年「mines rescue officers (鉱山救助官)」の職を辞した。けれども、「炭鉱の事故の知らせがあるなら、いつでも駆けつける」と、その意気込みを語る。

 炭鉱で働く仲間は、互いに固い絆(きずな)で結びついている。仲間はみな兄弟のようなもの。その仲間が生死の瀬戸際に立たされたとき、みすみす黙って放っておけないのた。

 これがヤマの仕事、ヤマの男だった。

 

おわりに:こんな固い絆で結ばれた職場が炭鉱(ヤマ)以外にあるとは思えない。つらく、危険な職場で、「妬み・そねみ」よりも、はるかに大きな「思いやり」があったのだ。

     (写真は添付のBBC Newsから引用)

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