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ナイチンゲールが飛べなくなる日:気候変動で飛行能力低下! (BBC-Science & Environment, April 1, 2020)

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 木漏れ日の揺らめく林や森の中を歩いていると、小鳥の鳴き声が響き渡る。日だまりのススキが原には、雀が騒がしく群れ、まるで「雀のおやど」だ。春がやって来て、小鳥たちも巣作りに忙しくなる時期。

 夜通し、近くの湖で啼き喚いていた白鳥の群れが、そそくさと北の国に引き上げると、それと入れ替わるように、ムクドリやウソなどの渡り鳥が庭の木立ち・茂みに姿を見せるようになった。

 こんなふうに、季節が変わるごとに、ごく自然に、小鳥たちの姿も、その鳴き声も変わって行く。

 ところで、この50年余りの間に、イギリスでは「nightingales (ナイチンゲール)」の個体数が90%も減少したという。その美しく、遠くまで響き渡る澄んだ歌声は、多くのヨーロッパ人を魅了し、古くから愛されて来た小鳥だ。

 そのナイチンゲールが数を減らした原因は、増え過ぎたシカが、この鳥の巣作りの草地を食べ尽くしてしまうことに加えて、気候変動にあるとされる。

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 Complutense大学の Dr Carolina Remachaらの研究グループが、スペイン中部に生息する 2組のナイチンゲールの群れの翼の変化を20年間にわたって調査した結果、小鳥の「渡り (migration)」には不利な「maladaptation (不適応)」進化を起こしていることが明らかにされた。

 近年、スペイン中部では、気候変動の影響を受けて、春の到来が遅く、夏が始まると猛暑で日照りが続くようになった。このため、ナイチンゲールの繁殖期 (子育て期間)が短縮され、育てるヒナの数が少なく、翼(つばさ)の短いヒナが「自然淘汰 (natural selection)」で生き残る確率が高くなったという。

 翼(つばさ)が短くなっては長距離の飛行に不利。秋の、サハラ砂漠越えの「渡り」では、上空で力尽きて落下するナイチンゲールが続出するに違いない。

 気候変動に適応しようと、翼の形を変えているうちに、飛行能力を失ってしまったナイチンゲール。まさに生物の「devolution (退化)」が始まった。

                               (写真は添付のBBC Newsから引用)

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