地球上の樹木は推定73,300種:されど、熱帯雨林は危機的状態! (BBC-Science, Feb 1, 2022)
最新の調査研究によると、地球上に生育する樹木の種類は推定73,300種。これまで考えられていたよりも14%増の多様性に富むことが明らかになった。
これは、Minnesota 大学の Dr Peter Reichを中心とする国際研究チームが、科学雑誌「The Proceeding of the National Academy of Sciences」に 発表した結果だ。
なお、研究では、世界100,000以上の森林に生育する樹木約数千万本について、140名を超える研究者が共同で調査に当たった。さらに、そのデータベースを活用し、既存の樹木データを統計学的に補完する方法で、樹木種全体の総数を推定したという。
その結果、次の結論を得た。
・地球上の樹木の種類は約73,300種
・そのうち、これまで発見された樹木は9,200種のみ
・地球上の樹木は「多様性 (diversity)」に富むが、熱帯・亜熱帯雨林 (とくに南米、アフリカ、アジア、オセアニア) は、気候変動と森林破壊によって危機的な状態にある。
失われつつある樹木の種 (missing species)を、現存する樹木(種数)全体の割合で示し、それを大陸別にまとめると、次のようになる。
・South America: 40%
・Eurasia: 22%
・Africa: 16%
・North America: 15%
「多様性のある天然樹林 (diverse natural forests)」は、(生態系が)健全で生産性に富み、世界経済と自然に欠かせないもの。しかし、その多くは熱帯雨林に広がっている。皮肉なことに、その熱帯雨林は森林破壊 (deforestation)が顕著な地域でもある。
森林の消滅の主な原因は次の 3点。
・西側諸国に輸出する農産物生産を目的とした家畜の放牧、プランテーション
・気候変動
・森林火災
つまり、熱帯雨林は、希少植物(樹木を含む)・動物の宝庫 (treasure chests)であり、これまで考えられていた以上に、その種も「多様性 (diversity)」であるが、一方で、その多様性は脆弱 (vulnerability)であり、恐ろしい早さで、この地球上から希少種が消えつつあるという。
おわりに:これまで手つかずだった熱帯の天然樹林が消失することは、その地域の生態系が崩壊することに他ならない。地球上の生命体は互いに助け合って数万、数十万、数百万年と生きてきた。樹木は地中にしっかりと根をおろし、小鳥に餌や棲家を提供し、人間に対しては大気中のCO2を吸収し、新鮮なO2、食糧、資材を提供してくれた。それなのに、そんな樹木を根こそぎ切り倒すなんて、なんとむごいことだろう。
(写真は添付のBBC Newsから引用)