サッカーファン:ストレス上がって、運命の糸もブチ切れ寸前! (BBC-Health, January 24, 2020)
サッカーファンの「fan」は「fanatic (狂人、狂信者)」の省略形。その「fanatic」の語源はラテン語の「fanaticus」。それは、古代ローマの時代、女神「Bellona (ベローナ)」、「Cybele (キュベレー)」を祀(まつ)る儀式で、祭司が見せた想像を絶する「wildly excited (狂乱的な興奮)」を意味した。
大昔の気狂いじみた宗教儀式はともかく、サッカー試合で (高校野球とて同じようなものだが)、品格・品性を欠いた怒鳴り合いと罵(ののし)り合いが延々と続く。あげくの果に、応援チームが負けると、ファンは「a feeling of impending doom (自分の運命もこれまでかと、どん底気分)」に打ちのめされる。
これでは、まさしく、女神の像の前で狂乱し、醜態を晒した人々の「fanatic」と同じではないか。
多くのサッカーや野球のファンは、ビールを飲みながらの、羽目を外した大騒ぎが楽しみで、スタジアムに向かう。もしも、「fan」が「supporter」、「admirer」の意味だと主張し、円形闘技場「colosseum (コロッセウム)」で狂乱した古代ローマ人とは違うと自己弁護するなら、「一喜一憂」の「しきい値 (threshold)」を超えないことだ。
さて、Oxford大学の Dr Martha Newsonらの研究グループは、サッカーの「熱狂的ファン (devoted football fans)」の唾液検査 (saliva tests)を、試合前、試合中、そして試合後に実施し、ストレスホルモン「cortisol (コルチゾール)」の分泌の変化を調べた。とくに注目したのは、2,014年7月にブラジルで開催されたサッカー・ワールドカップ準決勝戦 (ブラジル対ドイツ)の試合だった。
ブラジルチームの地元ファンは、気持ちの上では選手と一体となってボールを追い、叫び、そして、最終的な 1:7の結果にむせび泣いた。
この試合で、ブラジルファンのコルチゾールが急上昇した。これは、次の症状を招く恐れがあった。
・constrict blood vessels:血管収縮
・raise blood pressure:血圧上昇
・damage an already weakened heart:弱った心臓の悪化
つまり、余りに肩入れした応援は、心臓発作の発症リスクを高めるのだ。Dr Newsonによると、「crunch gemas (白熱した試合)」終了後には、観客を鎮めるために、スタジアムの照明の明るさを落としたり、「highly committed fans (激しく興奮したファン)」に対しては心臓検査や健康検査の配慮も必要という。
(写真は添付のBBC Newsから引用)