ビタミンB12欠乏症:偏食ベジタリアンの落とし穴! (BBC-Health, December 18, 2019)
「小事に拘泥し、大事を怠る」。拘泥とはこだわり (persistency)のことだ。主義主張は、本人の勝手だが、大した理由も理念もないのに、一つのことにこだわると、碌(ろく)なことがない。
植物繊維の豊富な野菜・果物を食べることは体に良いこととされる。しかし、人間は、草食動物の牛・馬とは体の構造が違う。野山に生える草だけを食(は)んで生きてゆけない。
肉類・魚介類を一切避けて、野菜だけを口にする「vegans (完全菜食主義者)」の食生活は、確かに体をスリムにし、2型糖尿病や心臓病の発症リスクを下げることができる。
ところが、最近の研究によると、野菜だけを食べ続けていると、ビタミンB12 が欠乏し、「bone fracture (骨折)」、「haemorrhagic stroke (出血性脳卒中)」の発症リスクが高まることが分かって来た。
成人に必要とされるビタミンB12摂取量は、1日当たり約1.5㎍。「タミンB12欠乏症(Vitamin B12 deficiency)」の症状は、手足がピリピリし始めるという。
残念ながら、「植物性タンパク質 (plant proteins)」には、ビタミンB12が含まれていない。これに反して、シジミ・アサリ、牡蠣(かき)、イクラ、ニシン・イワシなどの魚介類、肉類、乳製品には、このビタミン成分が豊富だ。
Oxford大学のTim Key教授によると、こだわりの「vegans」は、シリアルなどの「補強食品 (fortified foods)」やサプリメントによって、ビタミンB12 を補うことを忘れてはいけない。
また、ネット上で、『野菜だけ食べていても大丈夫。ビタミンB12欠乏症など、単なる「捏造(myth)」』とする情報が流れている。しかし、それこそ、「根も葉もない (not based on evidence)」デマだ。
おわりに:人それぞれに、食べることに関しては、好き嫌いを含め、自分なりの蘊蓄(うんちく)があるだろう。しかし、酒は水の代わりにならないし、油まみれのドーナツや菓子パンがご飯の代わりになることはない。貝原益軒は「養生訓」のなかで『食は身を養う物なり』と言った。バランスよく、体のことを考えて食べることが大切だ。また、それが病魔を寄せ付けない秘訣に違いない。
(写真は添付のBBC Newsから引用)