雷神はストーン・サークルがお好き:くわばら くわばら! (BBC-News, December 23, 2019)
真っ暗闇だった。海はゴウゴウと荒れ狂い、大粒の雨が地面を叩き付ける。突然、辺りが一瞬、明るくなったかと思うと、バリバリと耳をつんざくような轟音が鳴り響き、足下がグラグラ揺れた。それは、天空の圧倒的な力を見せつける「落雷 (lightning strikes)」の瞬間だ。人はそれを雷さま(雷神)の降臨とも言う。
現代人も、その破壊的な超自然現象には、ただただ驚くばかりだが、数千年前の人類は、この稲妻の大迫力を目の前にして、どんなに肝をつぶしたことだろう。
さて、Scotlandの西の果てに浮かぶ「Outer Hebrides (アウター・ヘブリデーズ諸島)」の「isle of Lewis (ルイス島)」には、幾つもの「Stone circles (ストーン・サークル)」がある。一連の石柱群は、「late Neolithic era (新石器時代後期)」の、今から約4,000年前に建造されたと考えられている。
ところが、St Andrew大学の Dr Richard Batesらの研究チームが、この一帯を「地球物理探査 (geophysical survey)」によって調べた結果、凄まじい落雷の痕跡が、地面の上に、複数の星形を描いて残されていることを発見した。
中でも「Site XI」の落雷は、約3,000年前のものと判定された。
その「Site XI」も、今では、すっかり「peat (ピート)」に覆われて、石柱は地面の下に埋もれしまっているが、ここは、かって樹木が生い茂り、石柱が立ち並んでいた場所だった。
そしてなぜか、雷はこの場所が好きだった。この真上で稲妻が何度も光り、バリバリと落雷したことは確かだ。人々は、そのことを知って、この地にストーン・サークルをつくりあげたのだろうか。
Dr Batesは、落雷とストーン・サークルの間になんら関連性がない、単なる「coincidence (偶然の一致)」と見ることができないと言う。この島で農耕を営んた人々は、稲妻・雷を恐れあるいは崇め、それが毎日の生活と信仰に強く結びついていたのではないかと見ている。
(写真は添付のBBC Newsから引用)