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人間になりかけたアシカの Pup (赤ちゃん):排水溝に迷い込み、衰弱!(BBC-News, January 6, 2019)

https://ichef.bbci.co.uk/news/800/cpsprodpb/12449/production/_105052847_sealpup1.jpg

 Scotlandに伝わる伝説によると、「seals (アシカ)」には特別な力がある。海の中ではアシカでも陸に揚がると人間の姿になると信じられた。だから、アシカを殺してはいけない、とくに、アシカが海から陸に揚がって人間の姿になりかけているときには、絶対に殺してはいけないと、言い伝えられた。

 なお、アシカ (eared seals)はアザラシ (earless seals)と間違いやすい。アシカは、アザラシと違って、英語の名のとおり、耳たぶがあり、前足のヒレが大きく、上体をスックと起こすことができる。アシカは、水中に潜ると、息継ぎなしで20分間も泳ぎ回る。しかし、いくら進化した動物のアシカでも、水と魚がないと、生きてゆけない。

 さて、イギリス東部の Norfolk (ノーフォーク州)は「The Wash (ウォッシュ湾)」に面した、のどかな地方。その州にある人口4千人強の小さなVillage「Terrington St Clement (テレメント・セント・クレメント)」で、小さな事件が起きた。昨年の12月19日のことだった。
 アシカの赤ちゃん (pup)、それも、生まれてまだ 3週間の「ヨチヨチ歩き」が、「ずいぶんと痩せて、衰弱した状態 (still very thin and poorly)」で、農場に囲まれた一画の、とある家の裏庭で発見されたのだ。「Anwar (アンウォー)」ちゃんと呼ばれることになった。

 「The Royal Society for the Prevention of Cruelty to Animals (王立動物虐待防止協会RSPCA)」が早速これを保護し、「East Winch Wildlife Cntre」が治療に当たった。
 Anwarちゃん、どうやら、母親と、はぐれた後、誤って「排水溝 (drainage ditch)」に迷い込んでしまったらしい。排水溝の水の深さは、わずか5cm。その水の流れを遡ると、海かエサにありつけると思ったせいか、ドンドン内陸部に入って、たどり着いた先が、海岸から 4マイル (6.4km)の裏庭だった。

 現在、自力でエサを食べるほどに元気を取り戻したが、野生に戻って生きてゆけるまで回復するには、まだ数週間あるいは数ヶ月は掛かると見込まれている。

 アシカの赤ちゃんは、小っちゃくて、魔力を使って人間に変身する力がなかったようだ。それにしても、野生のアシカには脱帽だ。生まれて3週間にして、誰からも教わっていないのに、4マイルも走れるなんて。

付記:なお、写真では「seal」の耳たぶが十分に確認できないため、その上体を起こした姿からアシカとした。読者の方から、これはアザラシとの貴重な指摘があったことを付記し、感謝の意を表したい。

          (写真は添付のBBC Newsから引用)

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