地球外生命か?:土星の月「エンケラドス」の水から有機物発見 (BBC-Science & Environment, June 27, 2018)
土星 (Saturn)は不思議な惑星だ。62個もの月と、あの帽子のつばのような環まで、グルグルと周回させている。土星の月の1つ「Enceladus (エンケラドス)」もまた、不思議な天体だ。地表は厚い氷で覆われているが、地下には海が広がっていると考えられていて、時折、その天体の南極付近から、水がジェットになって噴出する。
土星探査衛星「Cassini (カッシーニ)」は、数々の撮影画像と観測データを地球に送った後、昨年の9月、土星に突入し、その任務を終えた。
Dr Frank Postbergらの研究グループは、その膨大なデータを解析した結果、エンケラドスの水の中に、「complex carbon-based molecules (複雑な炭素系分子の集合体)」いわゆる「organics (有機物)」が含まれていることを発見した。地球以外の水から、そのような有機化合物が見つかったのは、今回が初めて。
ただし、有機物があるからと言って、生命 (life) が存在する証拠とはならない。しかし、エンケラドスには、少なくとも、「living organism」を育む環境が備わっていそうだ。
この種の有機物は、地球上で生物学的 (biologically)に形成されるもの。ところが、今回、エラケラドスの水の中から発見された有機物が、生物起源なのか、あるいは地球上とは全く違ったプロセスで形成されたものなのか、現在の段階では不明。それは原始的な「前生物化学構造」であるかも知れないし、生命体そのものである可能性もある。
なお、生命の誕生には、次の条件が必要とされる。
・Liquid water:液状の水
・Energy:エネルギー
・Organics (confound containing carbon):有機物(炭素を含む有機化合物)
・A group of particular elements (carbon, hydrogen, nitrogen, oxygen, phosphorous and sulphur):特殊な元素グループ(C, H, N, O, P, S)
なお、これまで、エンケラドスでリンPとイオウSの元素は発見されていないが、その外の、生命の誕生に必要とされる元素は、全て見つかっている。
(写真は添付のBBC Newsから引用)