むしょうに食べたい、過食症:原因は思考スイッチにあった! (BBC-Health, July 11, 2017)
人は誰でも心が不安定になることがある。また、毎日、運動し、栄養バランスのとれた食事をし、早寝早起きを遂行することは、理想的な生活パターン。しかし、人それぞれの事情によって、そのようにできないこともある。
ソフトクリームやスイーツを止めたくても、止められない人。マクドナルドの脂っこいドーナツやハンバーガーが大好きな USファン。ダメだと頭の中では分かっていても、ついつい食べてしまう。その後、体重計に上がってみて驚く。そして後悔し、「くよくよとネガティブなことを考え (dwelling on negative thoughts about themselves)」、自己嫌悪 (self-criticism) に陥る。
私の中の一方の私が「healthy diet (健全な食生活)」と「slim body (スマートな体型)」を望み、別の私は、むしょうにスイーツが食べたくなり、食べたいものを思いっきり食べたいと思う。心は、ジレンマ (dilemma) に立たされる。
この状態がこじれると危険だ。ときに「bulimia (過食症)」を発症してしまう。
"Psychologists have long thought binge-eating is triggered by stress and gives women with bulimia a way of focusitng on food, instead of being critical of themselves."
[ 過食症はストレスが引き金となって発症し、この病気の女性は、客観的に自分を見つめることができずに、食べることに集中する。これが心理学者のこれまでの定説だった。]
ところが、Washington 大学と George Mason 大学が共同で過食症患者の脳を調べた結果、驚くべきことが明らかになる。
患者に解けそうもない数学の問題を課してストレスを与えた後、「high-sugar or high-fat food (砂糖たっぷり、脂っこい食べ物)」の画像を見せて、その実験中に「脳スキャン (brain scans)」装置によって脳内の血液の流れを観察した。
すると、食べ物の画像を見たとたんに、脳の「precuneus (楔前部)」を流れる血液の量が減少した。ここは、「self-reflection (内省)」、「rumination (熟考)」、「self-criticism (自己批判)」に携わる大事な部分だ。
この実験から、過食症の疾患者は自分の「(shortcomings (欠点)」に関する思考を停止させ、食べ物に注意を向けていることが分かった。自己嫌悪感から逃れようと過食していたのだ。もちろん、正常な人には認められない事象だという。
つまり、過食症疾患者は、大きなストレスがなくとも、思考チャンネルを切って、発症していたことになる。この結果は基本的な「emotion-regulation behavioural skills (情動制御行動力)」の習得治療に応用が期待される。
なお、過食症の治療法として、「trans-cranial magnetic stimulation (経頭蓋磁気刺激法)」も知られている。
一連の研究内容の詳細は、医学雑誌「Abnormal Psychology」に発表された。
(写真は添付のBBC Newsから引用。)