体内に棲み着き、体調管理する微生物:その細胞数39兆の世界 (BBC-Health, April 10, 2018)
ヒトの体は、約30兆の細胞で構成されている (その 84%は赤血球細胞)。ただし、体はそれらの細胞だけで機能しているわけではない。そこに棲み着いた微生物の細胞39兆が重要な役割を果たしていることが分かってきた。
とくに酸欠状態 (osygen-deprived)の腸内に棲み暮らす「microbiome (微生物叢)」は、
・digestion;消化作用
・immune systems:免疫システム
・inflammatory bowel diseases:炎症性腸疾患
・Parkinson's:パーキンソン病
・depression:鬱(うつ)病
・autism:自閉症
・obesity:肥満
・caner drugs work:抗がん剤の効果
などに深く関与し、ヒトの体に大切なビタミンまで生産していた。
「The Max Planck Institute (マックス・プランク研究所)」の Ruth Ley教授によると、人類は、過去50年以上にわたって天然痘 (smallpox)、結核菌 (Micobscterium tuberculosis)、メチシリン耐性ブドウ球菌 (MRSA) などの病原菌 (pathogens) を根絶するため、「antibiotics (抗生物質)」や「vaccines (ワクチン)」を開発し、多くの人命を救って来た。しかし、同時に、ヒトの体内に棲息していた数々の「善玉菌 (good bacteria)」まで殺してしまった。
その結果として、関節リウマチなどの「自己免疫疾患 (autoimmune diseases)」や「アレルギー (allergy)」疾患が急速に増えて、新たな「疾患対策」に取り組まざるを得なくなったという。
California大学の Rob Knight教授は、痩せた人と太った人のそれぞれから採取した「faeces(便)」を使って、無菌室で育てたマウスの腸内微生物叢を変化させる実験を行なった。そして、みごと、微生物によってマウスの体重を制御することに成功した。太った人の便ではマウスの体重が増し、痩せた人の便を使うと体重が減ることを確認したのだ。
同様の研究は「The Wellcome Trust Sanger Institute」の Dr Trevor Lawleyらの研究グループも進めている。病気の人の腸内には、ある種の善玉菌が欠けている。そこで、その欠けた微生物を投入して腸内の微生物叢を修復すると、炎症性腸疾患の1種である「潰瘍性大腸炎 (ulcerative colitis)」が回復することを実証している。
病気を、薬を使わずに、腸内の微生物叢をコントロールすることによって治療する「microbial medicine (微生物医療)」が始まったのだ。
なお、肥満 (obesity) の要因として「family history (家系)」、「lifestyle (生活スタイル)」も無視できないが、ハンバーガーやチョコを食べ過ぎると、消化管 (digestive tract)に棲息するある種の微生物の生存を危うくし、肥満の体質に拍車を駆けることになりかねない。そして、さらに他の病気を呼び込んでしまう。
結論:ヒトの体の中は、69兆の細胞が連携するミクロ宇宙の世界。人間が生きていくためには、どうしても善玉菌の助けが必要だ。ファースト・フードの無茶食いや無駄な薬によって折角の善玉菌を殺しては、元も子もなくなる。
(写真は添付のBBC Newsから引用)