火星の大気は太陽風で吹き飛んだ!:その新たな証拠 (BBC-Science & Environment, March 31, 2017)
アメリカ航空宇宙局NASAの「Mars Atomosphere and Volatile Evolution Mission (火星大気・揮発物質進化探査 Marven)」計画では、火星を周回する探査衛星 (satelite) と火星表面を走り回る探査機 Curiosity (キュオリシティ)」が火星の大気組成に関するデータを集積している。
この火星探査計画を主導する Bruce Jakosky 教授の研究チームが、火星の大気に含まれるアルゴン (argon) の同位対比を分析した結果、かって「古代の火星 (acient Mars)」は地球とほぼ同程度の分厚い大気層が存在し、その中にはかなりの二酸化炭素 CO2も含まれていたことが分かった。
つまり、火星表面は、その温室効果ガスのお陰で温暖であったことになる。液体の水も「原始的な生命体 (nascent lifeforms)」も存在し得る環境だった。なお、詳細は科学雑誌「Science」に発表された。
Jakosky 教授らが注目したのは、上層大気に数ppmの濃度で含まれているアルゴン。アルゴンは不活性気体 (noble gas) で、他の気体や火星表面の岩石と反応することはない。したがって、アルゴンが消失するとすれば、太陽から吹き付ける強烈な「荷電粒子の流れ(プラズマ流)」によって宇宙に飛ばされてしまったことになる。
このとき、アルゴンの 2 種の同位体 (isotopes) 36Ar と 38Ar の質量の違いが、吹き飛ばされる量に関係する。軽い同位体はそれだけ宇宙に散逸する割合も多い。
この解析結果が示したのは、数十億年の間に、太古の火星の大気の 80 - 90%が吹き飛んでしまったことだった。
火星表面の精密な写真で確認されているように、太古の火星には水が流れ、「rever beds (河床)や、「flood plains (氾濫原)」、「dertas (デルタ)」もあった。そのことが、大気組成のデータからも裏付けられたのだ。
なお、探査機 Curiosity は Gale Creter 内で「persistent lakes (残存湖)」の証跡を発見している。
(写真は添付のBBC Newsから引用。)