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「1兆分の1」の驚異的な臭覚センサーで:ガン・血糖値を探れ!  (BBC-Health, March 13, 2017)

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ppm, parts per million」とは、100万分の 1のこと。濃度 (concentration) の単位だ。
 イタイタイ病の原因となった重金属カドミ (cadmium) Cd は、お米 (玄米) に1 ppm まで含まれていても日本国内で流通していた。「健康に及ぼす影響が少ない」と駄々をこねる人の声が大きかったせいか、その値が、ようやく、国際基準 0.4ppm 以下に引き下げられたのは、6 年前の 2011年 2月のことだ。
 カドミ Cd と同じ理由でセシウム 137、ストロンチウム 90 についても、独自判断の基準値が設定されているのではと、危ぶまれる。危険物質に対する基準値設定において「生物濃縮 (biological accumulation)」を科学的に考慮した形跡はないからだ。

 さて、その「ppm」のさらに100分の 1は「1兆分の1」。単位は「ppt, part per trillion」となる。具体的には、0.001mg の塩を純水 1 m3 で希釈した塩分濃度。塩に限らず、これほど希薄な物質の濃度を瞬時に測定できる人工センサーは、地球上に存在しない。

http://ichef.bbci.co.uk/news/736/cpsprodpb/1655/production/_95071750_magic.jpg

 しかし、「bio-senso r(バイオ・センサー)」があった。それも計測が難しいとされる「臭覚センサー」。それは「イヌの臭覚」だ。
 その並外れて鋭い臭覚能力を、糖尿病患者の血糖値モニタリングや前立腺ガン(prostate cancer) の診断に役立てようとする研究がイギリスで始まった。

"It is thought that the dogs can pick up the odour of cancer 'volatiles', which travel from the infected cells into the urine as the body tries to dispose of the chemicals."

[ 前立腺ガンの感染細胞から放出された揮発成分が、尿と一緒に排出されると、イヌはこれを嗅ぎ分けることができると考えられる。]

 訓練を受けたイヌの前立腺ガン診断の的中率は 90%以上。なお、前立腺ガンに限らず、乳ガンを早期に発見したイヌの例も報告されている。

 また、「1型糖尿病 (type 1 diabetes)」の疾患者は、ときに20 - 30分毎に血糖値 (blood glucose level) をチェックする必要がある。この病気は発作 (seizure) が起こって直ぐに手当をしないと「昏睡 (coma)」に陥り、死に至ることもある。これでは、夜も恐ろしくて眠れない。
 Ms Claire Pesterfield の愛犬 Magic (マジック) は「medical alert assistant dog (投薬注意介護犬)」だ。24時間、飼い主に付き添い、飼い主のわずかな血糖値の変化も見逃さない。その感知精度も「ppt (1兆分の1)」だ。これまで Claireさんがこの介護犬と過ごした年数は 3年半。その間に、3,500 回も危険な状態を知らせてくれたという。もう、Magic無しでは生きていけないと、Claireさんは話す。

 しかし、とにもかくにも、Magic君は偉い。
"He does it all for a dog biscuit."
[ 彼は、ドッグ・ビスケット 1枚のために、何でもしてくれるのよ。]
                                                                                                                        (写真は添付の BBC Newsから引用。)
        

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