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魚のメチル水銀に要注意!:地球温暖化で毒性濃度が急上昇 (BBC-Science & Environment, January 28, 2017)

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 北半球の魚に異常が起きている。水俣病の原因となったメチル水銀 (methylmercury)の濃度が上がっているのだ。炭素 (C) と水銀 (Hg) が結びついた、この有機金属化合物(organometaric compounds)は、人体に極めて有害 (toxic)。とくに子どもの神経組織(nervous system) に損傷を与え、「paralysis (麻痺)」、「mental impairment (精神機能障害)」を引き起こす。
 河川・海洋、土壌や植物に内在する水銀は、バクテリア (bacteria) の作用によって毒性の高い有機水銀に変化する。

  さて、メチル水銀などの有機水銀には環境基準が設定されている。しかし、これで一安心と油断してはいけない。毒物は食物連鎖 (food chain) と生物濃縮 (bioaccumulation)によって、生物の体内に自然環境の数千万倍 (×10の7乗) のレベルで濃縮される。

"Levels of mercury in the world's ecosystems have increased by between 200 and 500%, since the industrial revolution say experts, driven up by the use of fossil fuels such as coal."
[ 専門家によると、18世紀後半に始まった産業革命以来、人類が石炭などの化石燃料を消費し続けた結果、この 200年間で地球上の生態系の水銀濃度は 500%も上昇した。]

 水俣病の発生は、公害の恐ろしさを世界に訴える切っ掛けとなり、2013年世界136ヶ国は、国際条約 (international treaty)「The Minamata Convention on Mercury (水銀に関する水俣条約)」を締結した。これで、環境に排出される水銀は大幅に制限されることになる。

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 しかし、ここに来て、これまで誰も予想しなかった事実が浮かび上がる。地球温暖化によって、海洋の水銀濃度が上昇し、結果的に魚のメチル水銀濃度が上がっていた。   

 これは、スウェーデン Umea 大学の Dr Erik Byorn ら研究チームが、「Bothnian sea estuary (ボスニア湾)」で研究を進め、その研究成果を科学雑誌「Science Advances」に発表した内容だ。

 地球温暖化によって降雨量 (rainfall) が増したため、陸上から湖・海洋に流出する有機水銀の量が増大した。これによって植物性プランクトン (phytoplankton) の生態系が崩れ、水中では急激にバクテリア (bacteria) が増え出した。すると、これを捕食する新たな「predator」の「動物性プランクトン (zooplankton)」が発生し、それは小魚のエサとなり、次にもっと大きな魚が、その小魚を食べる。いわゆる食物連鎖が起こる。

 ただし、これまでの食物連鎖の過程に、「有機水銀によるバクテリアの大発生」が加えられたというのだ。
 これで、北半球の魚では、なぜメチル水銀の濃度が急上昇しているのか、理解できる。
                              (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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