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珈琲(コーヒー):絶滅から救え (BBC-Magagine,May 24, 2015)

http://ichef.bbci.co.uk/news/555/media/images/83154000/jpg/_83154459_976xp1280696.jpg

 先日、スタバ(Starbucks)カフェの前を通ると、行列ができていた。今や、コーヒーは世界中で大人気だ、その毎日の消費量は、カップにして20億杯。この15年間で45%も伸びたのだ。コーヒー農業に携わり、生計を立てている世帯数は2,500万。これにコーヒーの流通・販売業者を含めたら、巨大な産業になる。

 世界でこれまでに確認されたコーヒーの木の品種は124種。ところが、栽培種はアラビカ種(Arabica)とロブスタ種(Robusta)の2種だけ。ロブスタ種は世界のコーヒー生産量の約30%を占め、残る約70%のほとんどをアラビカ種が占める。この背景にはコーヒーのプランテーション栽培の歴史も一部関与するが、アラビカ種が好まれる最大の理由は、「その味」にある。他の品種のコーヒーは太刀打ちできない。

 ロブスタ種は、アラビカ種に比べて丈夫で収穫量も多いが、味の方は「awful taste」、ひどいものだ。このため、ロブスタ種はインスタント・コーヒー用に回される。

 しかし、単独の品種を長期にわたって栽培するとどうなるか。その教訓をジャガイモの歴史に見ることができる。16世紀、スペイン人がアメリカ大陸からヨーロッパに持ち込んだジャガイモは限定種であった。その後、19世紀のヨーロッパでジャガイモの疫病の黒斑病が大発生し、アイルランドを中心とした大飢饉が起きる。とくに単独品種の作物は、その遺伝子に多様性が欠けると、病気に対する抵抗力が弱くなるのだ。

 アラビカ種は、気温と降雨量の変化に敏感な品種で、その栽培地も限られる。アラビカ種の原生種(wild Arabica)は、エチオピアの南部に繁殖する。その遺伝子のDNA鎖を分析した結果、遺伝子の多様性は、かなり失われていることが判明した。英国王立植物園キュー(The UK's Royal Botanic Gardens, Kew)は、「今後の環境・気候変動が、このアラビカ種のエチオピア原生種にどのような影響を与えるか」について、コンピュータシミュレーション解析を実施した。その結果、現在の原生種の生育圏は、2080年に85%が消失し、最悪の場合、その99.7%が消失する。つまり、ほとんどが絶滅となる。

 この結果から、今後、末永くコーヒーを味わうためには、アラビカ種の新たな遺伝子の発見と原生種の保存に努めるとともに、一方で、交雑種の開発に力を注ぐ必要があることは言うまでない。 (写真は添付のBBC Newsから引用)

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