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抗うつ薬「SSRI」:「うつ病」よりも「不安障害」に効いていた! (BBC-Health, September 20, 2019) 

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 海 (oceans)は、強風が吹けば大波を逆立て荒れ狂い、霧がかかれば沖合の水平線が霞む。それでも、朝凪(あさなぎ)・夕凪には静まりかえって太陽の光を反射し、まばゆいばかりの美しさを見せる。
 それは、まるで人間の心そのものだ。嬉しいときには心が躍(おど)り、悲しみや絶望に打ちひしがれるときもあれば、怒りに燃えるときもある。

 しかし、いつも心が晴れない「うつ (depression)」は、厄介な病気だ。患者は、まるで、夜の海に雨がシトシトと降るような陰湿な暗さに打ちのめされる。漢字の「鬱」は、ジメジメした湿気に包まれた森の中に閉じ込められて、一か八かの瀬戸際に追い込まれたときの心の状態を表わす。
 ところが、どのような原因、メカニズムで「うつ」になるのかは、よく分かっていない。それでも、多くの種類の「抗うつ薬 (antidepressant)」が使用されて来た。

 その一つに「「Sertralin (セルトラリン)」(商品名Zoloft or JZoloft)と呼ばれる「elective Serotonin Reuptake Inhibitor (選択的セロトニン最取込み阻害剤SSRI)」がある。この薬には、脳内の神経伝達物質「serotonin (セロトニン)」の量を高める働きが期待されている。

 何とも、恐ろしいことに、精神科医は、抗うつ薬SSRIを患者に処方してはいるが、薬によって、患者の症状が具体的にどのように改善されるのかについては、皆目見当がつかなかった。適切とされる抗うつ薬を選択できずに、間違えて別の薬を処方することも少なくなかったとさえ言われている。

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 そこで、[University College London」のDr Gemma Lewisらの研究グループは、うつ病患者658人の協力を得て、「Sertralin(セルトラリン)」の効果を確かめる臨床試験に踏み切った。
 その結果、抗うつ薬「「Sertralin」はすぐに「depression (うつ)」の症状を緩和せずに、まず、「anxiety (不安障害)」の症状

・feeling worried:心配
・nervous:神経質
・irritable:イライラ

を改善する効果があり、服用してから3ヶ月にして、ようやく「depression (うつ)」の症状

・poor concentration:集中力の欠如
・low mood:気分の落ち込み
・lack of enjoyment:喜びの喪失

に「marginal improvements (わずかの改善)」が認めれただけだった。それでも、うつ病患者は「mental health (メンタルへルス)」が全体的に良くなったと回答したという。
(Dr Lewisらの臨床試験は、製薬業界から資金援助を一切受けていない点が重要。その研究結果の詳細は医学雑誌「The Lancet Psychiatry Journal」に発表された。)

 なお、この臨床試験において、「副作用 (side-effects)」はほとんど確認されなかった。

 ただし、Dr Lewisによると、抗うつ薬はどんな「depression (うつ)」にも効果があるとは限らず、「psychotherapy (心理療法)」や「social prescribing (社会的処方)」などを組み合わせた治療が欠かせないと主張する。

                                                                  (写真は添付のBBC Newsから引用)

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