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「乳ガン」も色々11種:そこいらの、十把一絡げの田舎治療は古い! (BBC-Health, Mar 14, 2019)

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 論語に「牛刀を以って鶏(にわとり)を割く」とある。大したことのないのに、大げさに牛刀を持ち出す人に対する戒めだ。
 これまで、乳ガン (breast cancer)と診断されると、抗ガン剤「Herceptin (ハーセプチン)」に頼ったり、性ホルモン「oestrogen (エストロゲン)」に対する応答性に着目した治療が精々だった。恐らくは、地方病院の治療のほとんどが、「十把一絡(から)げ」の治療と言っても言い過ぎではないかも知れない。

 しかし、乳ガンは発症原因の違いによって11種に分類され、さらに、ガン腫瘍細胞の「分子配列構造 (molecular wiring)」の違いによってサブ・グループに分けられることが分かってきた。乳ガンの治療には、その特徴の見極めが不可欠なことは言うまでもない。

 「The Cancer Research UK Cambridge Institute」は、ヨーロッパにおけるガン最先端研究の拠点の一つ。この研究所のCarlos Caldas教授らの研究グループは、約2,000人の乳ガン患者の腫瘍細胞の「genetic mutations (遺伝子変異)」を分子レベルで解析し、これと平行して、患者の乳ガンの進行状況を20年間にわたって追跡調査した。

 その結果、乳ガンの中でも、とりわけ再発性が高く、難治性腫瘍とされる「triple negative breast cancers (トリプル・ネガティブ乳ガン)」は、さらに2つのサブ・タイプに分類され、そのうち1つは、5年間 再発 (recurrence)がなければ、完治が期待される一方で、他の1つは、治療が長引く可能性があることも分かった。

 また、乳ガンの中でも性ホルモン「エストロゲン」が関与した乳ガン(4サブ・グループ) は、再発のリスクが「markedly increased (極めて高い)」ことも明らかになった。したがって、このタイプの乳ガン患者には、ホルモン剤「Tamoxifen (タモキシフェン)」による長期治療が有効と判断されると言う。

 このように、乳ガンを分類し、その特徴を明確にすることによって、標的を確実に狙った「personalised medicine (個別化治療)」、「tailoring treatment (テイラーメイド治療)」が可能になる。

 Cancer Research UKによると、UKでは、新たに乳ガンと診断される患者は、年間12,300人に上る。Caldas教授らが実施したガン腫瘍細胞の分子レベルの解析を、そのまま臨床医がすぐに採用する訳にはいかない。複雑な解析法をさらに進化、簡素化させない限り、臨床に採用することは無理。しかし、乳ガンは、ガン腫瘍細胞を「分子レベル」に立ち入って診断、治療する時代に入ったことは確かだ。
 乳ガンの自称専門医は、いつまでも、大昔の治療にこだわっていてはいけない、患者が苦しんでいることを忘れてはいけない。もっと、もっと医療レベルを上げることが求められている。
                 (写真は添付のBBC Newsから引用)

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