DNA解析で約800万年前にタイムスリップ:ミカンのルーツ探し! (BBC-Science & Environment, February 8, 2018)
「わらしべ長者」はよく知られた昔ばなし。
それまで運がなかった男が、観音様におすがりしたお陰で、次々と幸運に恵まれる話だ。地面に転んだひょうしに、何気なく掴んだ1本のわらしべが、3つのミカンのご褒美となり、それが 3反の白布に、名馬にと、手にする富が次第に大きくなってゆく。
その原本は、平安時代末期に書かれた「今昔物語第16巻28話」にある。この「わらしべ長者」を始めて読んだときに驚いたのは、今から千年も昔、すでに、少なくとも京の都人(みやこびと)はミカンを食べていたことだった。
ミカンは、レモン、オレンジ、ダイダイ、ライムなどの仲間。どれもビタミン Cがたっぷりの、これらの「柑橘類 (citrus fruits)」は、世界で最も広く栽培されている果物の1つに数え上げられる。しかし、そのルーツはこれまで謎とされて来た。
「The US Department of Energy Joint Genome Institute (米国エネルギー省共同ゲノム研究所)」のMr Guohong A. Wuらの研究チームは、世界中から採取した50種以上の柑橘類のゲノムを解析して、その「genetic maps (遺伝子地図)」を作成した。
その結果、柑橘類の先祖は、今からおよそ800万年前にヒマラヤ山脈南東部の山麓の丘 (foothills) で出現し、その後、数百万年を掛けて進化した後、人間の手で品種改良されれ来たことが分かったという。
現在、世界中で目にする柑橘類は、インドアッサム州東域、ミャンマー北部、中国雲南省西域などに生息した「在来種 (natural species)」をもとに品種改良されたものだった。
この研究で得られた「genetic maps (遺伝子地図)」は、病・害虫や気候変動に強い品種の柑橘類あるいは消費者の好みにあった品種の改良に役立つものと期待されている。
(写真は添付のBBC Newsから引用)