アメリカ航空宇宙局NASAの「Mars Atomosphere and Volatile Evolution Mission (火星大気・揮発物質進化探査 Marven)」計画では、火星を周回する探査衛星 (satelite) と火星表面を走り回る探査機 Curiosity (キュオリシティ)」が火星の大気組成に関するデータを集積している。
この火星探査計画を主導する Bruce Jakosky 教授の研究チームが、火星の大気に含まれるアルゴン (argon) の同位対比を分析した結果、かって「古代の火星 (acient Mars)」は地球とほぼ同程度の分厚い大気層が存在し、その中にはかなりの二酸化炭素 CO2も含まれていたことが分かった。
つまり、火星表面は、その温室効果ガスのお陰で温暖であったことになる。液体の水も「原始的な生命体 (nascent lifeforms)」も存在し得る環境だった。なお、詳細は科学雑誌「Science」に発表された。
Jakosky 教授らが注目したのは、上層大気に数ppmの濃度で含まれているアルゴン。アルゴンは不活性気体 (noble gas) で、他の気体や火星表面の岩石と反応することはない。したがって、アルゴンが消失するとすれば、太陽から吹き付ける強烈な「荷電粒子の流れ(プラズマ流)」によって宇宙に飛ばされてしまったことになる。
このとき、アルゴンの 2 種の同位体 (isotopes) 36Ar と 38Ar の質量の違いが、吹き飛ばされる量に関係する。軽い同位体はそれだけ宇宙に散逸する割合も多い。
この解析結果が示したのは、数十億年の間に、太古の火星の大気の 80 - 90%が吹き飛んでしまったことだった。
火星表面の精密な写真で確認されているように、太古の火星には水が流れ、「rever beds (河床)や、「flood plains (氾濫原)」、「dertas (デルタ)」もあった。そのことが、大気組成のデータからも裏付けられたのだ。
なお、探査機 Curiosity は Gale Creter 内で「persistent lakes (残存湖)」の証跡を発見している。
(写真は添付のBBC Newsから引用。)