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べーリンジア:氷河時代、人類が偶然に見つけた理想郷 (BBC-Earth, March 30, 2017)

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 これは、人類の壮大なドラマだ。

 地球の「最後の氷河期 (the last Ice Age)」は、数万年間続いて、今から約 1 万年前に終わったとされる。その頃は Siberia (シベリア) はもちろんのこと、南北アメリカ大陸は分厚い氷床 (ice sheet) に覆われていた。ただし、氷河期には海面が下がったため、シベリアとアラスカの間は「ベーリング陸橋 (the Bering Land Bridge)」すなわち「Beringia (べーリンジア)」でつながっていた。

 その面積は Texas (テキサス州) の 2 倍の広さで、シベリアに比べて寒さも凌ぎやすく、海に挟まれていたせいかジメジメとしていて灌木 (shrubs) が茂り、大型の「草食動物 (grazing mammals)」も生息していた。
 最後の氷河期がピークに達した約 2万年から 2万 4千年前、獲物を追って移動を続けていた人類は、偶然に、この Beringia (べーリンジア) に足を踏み入れたと考えられる。
 Beringia は、草食動物にとっても人間にとっても、氷河時代にあっては理想的な環境であった。人類は、灌木を燃やして暖をとり、狩りに出かけることができた。その後、数千年から約 1万年の間、この地で停留 (standstill) することになる。

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 やがて氷河期が終わりに近づき、北米大陸の氷河が後退 (retreat) すると、人類はBeringia から移動を始め、北米全土に広がって、最初の北米大陸居住者「Clovis people(クローヴィス人)」となる。
 クローヴィス層から発見された 12,300年前の「1 歳の子ども (Clovis boy)」の骨は驚きの事実を表わす。2014年、遺伝子解析の結果、現在、北米大陸に暮らす先住民(indigenous American) の 80%に共通する遺伝子だった。このことは、ごく小さな狩猟グループが北米大陸に渡ったことを意味する。

 一方、14,500~18,500年前の石器が、チリの南「Monte Verde (モンテ・ヴェルデ)」で発見された。おそらく、大陸を覆っていた氷河を避け、太平洋沿岸に沿って南に下ったグループがいたとものと推測されている。

 なお、北米の先住民は、オーストラリア、ニュージーランドアンダマン諸島の先住民と共通した遺伝子パターンを持っていることが知られている。
 どうやら、シベリアから Beringia に渡った人類は、氷河が後退するにつれて、何万年も掛けて南下して行ったと考えられる。ただし、一度、シベリアを離れた人類は、二度と、その足を北に向けることはなく、ひたすら南に向かう旅「one-way-journey」を続けた。
                    (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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