女郎グモの糸でスーパーレンズ:光学顕微鏡の限界を越える (BBC-Newst, August 22, 2016)
光には波の性質がある。このため顕微鏡で識別できる最小の長さ(回折限界)が存在し、「顕微鏡の分解能 (microscpe's resolution)」は 200 nm。したがって、それ以下の微細な細菌やウイルスを光学顕微鏡で見ることはできない。電子顕微鏡に譲る世界だ。しかし、電子顕微鏡の操作は複雑で、専門的な知識を必要とし、誰でもすぐに利用できるものではない。
Wales の Bangor大学と Oxford 大学の共同研究チームは、従来の光学顕微鏡の解析度を 2~3 倍上回る新たな技術を開発した。その秘密は、「女郎グモ (golden silk orb-weaver spider, Nephila)」がはき出す細く、透明で、シルクのような糸を使った「Superlens (スーパーレンズ)」にある。
"These lenses could be used for seeing and viewing previously 'invisible' structures, including engineered nano-structures and biological-structures as well as, potentisally, native germs and viruses."
[ このスーパーレンズを使うと、これまでの光学顕微鏡では到底見ることができなかった微細な構造を、その目で直接観察できるようになる。たとえば、人工的につくり出されたナノ粒子構造や、自然界ではどこにでも潜伏する細菌やウイルスなどの微生物の構造が確認できるのだ。]
そのスーパーレンズの原理は、まさに棒状のリーディング・ルーぺと同じ。細い透明なクモの糸を、見ようとする物体の表面に置くと、糸の縦方向の中心ライン部は、数倍に拡大される。
それに、顕微鏡の操作は極めてシンプル。また、生物材料 (biological materials) のクモの糸を顕微鏡に使うアイデアは高く評価されている。
(写真は添付のBBC Newsから引用。)