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排ガス規制の抜け穴:ディーゼル車NOx排出量は基準値の4.6倍 (BBC-Business, June 22, 2016)

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 またも、ディーゼル車の排出ガス規制に、大きな「抜け穴」が見つかった。関係者は、できることなら隠して置きたかったに違いない。

 2011年に EU 加盟国を走る自動車に対して義務化された排出ガス規制「Euro 5」は、環境に有害な CO (一酸化炭素)、NOx (窒素酸化物)、HC (炭化水素)、PM (粒子状物質)、SOx (窒素酸化物) の 5 項目に関し、排出基準値 (thresholds) を規定している。

 しかし、なぜか、その基準値は、実験室の高い温度状況下でクリアすれば良いとされていた。それでは、気温が 18℃以下で、少し肌寒い朝など、車の NOx 排出量は、大丈夫なのか。
  

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 検査を専門とする民間会社「Emissions Analytics」は自動車メーカー 31 社 213 車種 (models) のディーゼル車 (diesel vehicles) をテストした。その結果、

"The average Euro 5 vehicle was 3.6 times over the legal limit for poisonous Nitrogen Oxides (NOx) when it was above 18C. But that increased to 4.6 times over the limit, when the air temperature dropped."
[ ユーロ 5 基準の車は、気温18℃以上のとき、有害な窒素酸化物 NOx の排出量が、規制値よりも 3.6 倍高い値を示した。しかし、気温が 18℃以下に低下すると、その排出量は規制値の 4.6 倍に増加したのだ。]

 最近になって、ドイツ、フランス、イギリスの各政府がディーゼル車に対して独自に実施した検査でも、ほぼ同様の結果が示されているという。

"Many popular models polluted more when it was colder."
[ 世に出回っている多くのディーゼル車は、寒いときに大気を汚染しているのだ。]

 自動車メーカーは、低温時のエンジンを守るためにはやむなしの姿勢とか。一方、イギリス政府も、「メーカー側の対応を見守りたい」と、この問題には及び腰だ。

 ヨーロッパの排出ガス規制は、2017年にさらに厳しく改定されるが、そこには、低温のときに NOx の排出量が急増する件について、全く触れられていない。

 大気汚染 (air pollution) は「heart attacks (心臓発作)、「strokes (脳卒中)」、「breathing problems (呼吸障害)」、「premature babies (未熟児)」などに関連することが明らかになっている。London 大学 King's college London の Frank Kelly 教授によると、

"On average we think pollution is probably taking away about six months of life for the average British citizen."
[ おおざっぱに言って、大気汚染のせいで、平均的なイギリス人の寿命が、約半年分も縮まっていると考えられる。

 現在、イギリスで走っている「Euro 5」基準のディーゼル車は 510万台。それらの車は、今後少なくとも 10 - 15 年は乗り続けられ、寒いときには沢山の NOx を排出することになる。
                                 (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com