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大きいことはちっとも良いことじゃない:大気汚染で心臓肥大に! (BBC-Health, August 3, 2018)

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 大きいことは、常に良いというわけにはいかない。とくに心臓がそうだ。その左心室・右心室が肥大していることは、心臓に負担が掛かり、効率よく血液が送られていない証 (あか)しでもある。
 
 London大学「Queen Mary」の Dr Nay Aungらの研究グループは、UKの主な都市の郊外に住み、心臓病の症状のない被験者4,000人の、心臓の大きさ、重さ、その機能について調査した。
 すると、居住区の大気汚染レベルの高い人ほど、「心臓肥大 (enlarged heart)」が進んでいることを突き止めた。その調査データの解析結果によると、大気汚染指標の1つである「PM2.5」に関しては 1m3当たり 1 microgram、「二酸化窒素 (nitrogen dioxide)」に関しては 1m3当たり 10 micrograms増えるごとに、心臓が約 1%肥大していた。(研究結果の詳細は医学雑誌「Circulation」に発表)

 なお、Dr Aungらの論文では、被験者各人の居住区が記載されていないが、調査対象となった全ての都市郊外における1年間の平均 PM2.5 値は 8 - 12 micrograms/m3で、UKの環境基準値 25 micrograms/m3を下回っていた。(ちなみに、WHOの基準値は10 micrograms/m3)
 また、二酸化窒素の1年間の平均測定値は10 - 50 micrograms/m3であった。UK、WHOの基準値は40 micrograms/m3。

 この研究結果から、たとえ、大気汚染濃度がUKの環境基準値以下であっても、心臓は深刻なダメージを受けていることが分かるという。
 空気中に浮遊する微粒子 PM2.5 は、肺 (lungs)や心臓血管系 (cardiovascular system)に侵入するため、とくに危険とされる。

 Dr Aungらの研究結果を受けて、「The British Heart Foundation (英国心臓基金)」は、政府および公衆衛生当局に対し、直ちに、大気汚染対策に向けた行動を取るようにと提言していている。少なくとも、UKの PM2.5の環境基準値 25 micrograms/m3は高すぎる。

 ただし、データ解析の結果は、Open大学のKevin McConway教授が称賛するように「pretty solid evidence (動かしがたい、すばらしい科学的証拠)」ではあるが、残念ながら、この研究では、大気汚染と心臓肥大との間の「因果関係 (causal link)」すなわち「なぜ」を明確に説明することができない。また、今回、研究に協力した被験者4,000人のうち、何%が将来、心臓病を発症するのか、予測することも不可能。
 心臓病は、大気汚染の他にも、喫煙、飲酒、食生活、運動、社会的地位 (social position)など多くの要因が関与しているためだ。

しかし、たとえ、大気汚染が心臓病の直接の原因と言えなくとも、大気汚染が心臓病に関与していていることは明らかだ。「The Department for Environnent, Food and Rural Affairs (英国環境・食糧・農村地域省)」報道官も、大気汚染問題は、健康に与える環境リスク上、最も優先される課題と認める。

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 では、大気汚染から身を守るためには、どうすれば良いか。そのコツは次の通り。

・交通量の激しい道路は避ける。
・少しでも大気汚染濃度の低い、脇道を利用する。
・車が渋滞して、大気汚染物質のたまり場になった「hotspots」に要注意。信号機のボタンを押して、道路を横断するときは、ボタンを押したら、一旦、後方に退いて、車道の汚染物質を避けるようにする。
・坂道を歩いて上るときは、排気ガス濃度の高い「上り車線側の歩道」を避け、「下り車線側の歩道」を利用する。
・通常のマスクは、空気中に浮遊する PM2.5、二酸化窒素に対して、ほとんど効果なし。それよりも、「busy roads」は避けることだ。

 「そんなことは面倒くさい」と思うか、「病気になったら、病気は治りにくいので、自分の体のためリスクを避ける」と思うかは、自由だ。懸命なあなたなら、どちらを選びますか。
                   (写真は添付のBBC Newsから引用)

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