冬の寒さ：あなどって命落とす「温帯」人 (BBC-News, December 1, 2015)
冬になると、ほとんどの国で死亡率が上がる。
[ この原因は、寒さで血液成分が変化するためだ。血液中の赤血球数、血漿コレステロール、血漿フィブリノゲンの全てが増加し、心臓発作が起こりやすくなる。]
"Cold temperatures cause changes to the composition of the blood. It makes you more likely to have a heart attack as the red cell count, plasma cholesterol and plasma fibrinogen all increase."
[ さらに、ウイルス疾患、細菌疾患、ならびに呼吸器系疾患は、冬に集中して発症する。
このため、冬季における死亡率増加分の 50% は、心臓疾患と、血流が十分に供給されないことで発症する「脳血管疾患」に起因し、残る 50% の死亡原因は「呼吸器系疾患」だ。
"Viral, bacterial and respiratory infections also mostly occur in winter. Half of all the extra winter deaths are due to heart disease and conditions that affect the blood supply to the brain, the other half to respiratory disorders."
では、冬、寒い国ほど、死亡率が上がるのかと言うと、そうではない。
最も寒い冬の 2月に、気温が平均 -6℃まで下がるフィンランドの死亡率と、2月の平均気温が 15℃ のポルトガルの死亡率とを比べると、フィンランドの死亡率は、ポルトガルの値の 1/3 だ。
それはなぜか。理由は至って単純。
"The reason appears to be simple: in warmer countries homes have less insulation against the cold and people wear fewer clothes outdoors."
[ 冬、比較的暖かい国では、家屋の断熱が不十分で、その上、住民が外出の際に厚着して出かけないからだ。]
また、研究調査によると、外気の気温が 7℃ のとき、アテネ市民が生活する住居の室温は 19.2℃。それに、外出時に帽子をかぶる人はわずか 3％ だった。これに対し、同じ気温 7℃ の冬に、フィンランドでは、室温を 21.7℃ に保ち、外に出るとき、72％ の住民が帽子をかぶっていた。この違いが、アテネ住民の死亡率を冬に高くしている原因だ。
専門家は次のようにまとめる。
"Experts say excess winter deaths could be reduced substantially with warmer homes, and if people wore more warm clothes outside.
[ 冬季における死亡率の増加は、室内を暖かくし、外出時に厚着をすることで、大幅に抑えることができるはず。]
（写真は添付のBBC Newsから引用）
