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花の受粉に働くマルハナバチ:殺虫剤で体調不良 (BBC-Science & Environment, November 18, 2015)

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 農薬がないと、確かに、売り物になるような果物は作れない。米も小麦も、野菜だって事情は同じだ。農薬を使うことで、その収穫量は格段に伸びる。

 しかし、農薬は「両刃の剣[つるぎ] (double-edged swords)」。自然・環境に対する負の側面も持ち合わせている。その1つが、この記事で取り上げられた「マルハナバチ(bumblebees)」に対する「ネオニコチノイド系殺虫剤 (neonicotinoid pesticides)」の影響。

"Pollination services are clearly important because about 30% of the food that we eat comes from crops that are pollinated by bees and other insects and these could include crops such as fruit crops, nut crops, seed crops and oil crops."

[ マルハナバチ等の受粉作業が、この世界で欠かせないものになっていることは明らかだ。食料として口に入る農作物を収穫できるのは、ミツバチやその他の昆虫が花の受粉に関わってくれたお陰であり、その受粉寄与率は約30%に及ぶ。果物、ナッツ類、コーン類、オリーブ類などは、全て、恩恵を受けている作物に入る。]

"The global worth of the pollination service bees and other insects provide is estimated at between 152 billion between 379 billion pounds per year."

[ ミツバチやその他の昆虫が、人類に与えてくれる受粉の恩恵を金額に換算すると、世界全体で年間28.6兆円から71.7兆円にのぼる。]

 これまで、マルハナバチが殺虫剤に曝されると、その行動や繁殖に影響が現われることは知られていたが、受粉活動については、不明であった。

 そこで、イギリス Royal Holloway 大学の Dr Dara Stanley らの研究チームは、農薬製造メーカーとして世界最大手の「シジェンタ (Sygenta)」社が製造したネオネコチノイド系殺虫剤で、商品名「チアメトキサム (thiamethoxam)」を使った実験に着手し、マルハナバチの受粉活動と殺虫剤との関係を調べた。
 実験は、リンゴ園にて殺虫剤の散布濃度を変え、実施されたという。なお、研究の詳細は科学雑誌「Nature」に発表された。

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 実験データは事実を明らかにしてくれる。殺虫剤を使用すると、マルハナバチの受粉活動が低下し、結果としてリンゴの花の受粉率も下がることが判明した。
 これは、当然、リンゴの収穫量の減産 (reduced yields) につながるものだ。

 しかし、シジェンタ社は、すぐに反発する。

"The findings were 'premature'."
[ 結論を出すには早すぎた(時期尚早である)。]

さらに、続けて、
「この実験は、人工的な農園状況 (artificial conditions) のもとに、しかも、実際にはあり得ない殺虫剤濃度で実施された。それも、実験はたった1度だけ。論文は、そこから導き出された代表結果を示しているに過ぎない。」

 日本語には「難くせをつける」という言葉がある。「広辞苑」によると、その意味は、「わずかな欠点を見つけて避難する。あら探しをする。言いがかりをつける。」とある。

                   (写真は添付のBBC Newsから引用)

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