ネコのネズミ捕り:秘密の化学兵器 (BBC-Science & Environment, July 4, 2015)
ネコがネズミを捕まえるとき、不思議な習性を見せる。捕まえて弱ったネズミを、わざと逃がし、慌てて逃げるネズミを、また捕まえる。これを何度も繰り返し、「遊び」に飽きたところで、ムシャムシャ腹ごしらえをする。( A cat toys with a mouse, pretending to release it and then pouncing on it again. [Oxford Dictionary of English Idioms])
さて、このネコの習性を覚えておくと、次の英語の慣用句(idiom)は容易に理解できる。
「If you play cat and mouse with your boyfriend, (もし、あなたがボーイフレンドをもてあそんだら」。
しかし、ネコがなぜ、あんなにも上手にネズミを捕まえることができるのか。
その謎を解明する研究が、プラハ(Prague)にて開催された「実験生物学会大会(The Society for Experimental Biology's annual meeting」で発表されている。
Dr Vera Voznessenskaya(ボズネセンスカヤ)らの研究によると、ネコは、ネズミ退治用武器(anti-mouse arsenal)として、化学兵器(chemical warfare)を使うという。その化学兵器とは、尿(urine)に含まれるネコ特有の化学物質(cat-specific compound)。
一般には、ネズミの臭覚神経(chemical-sensing mouse neutrons)が、ネコの臭いに敏感に反応し、ストレスホルモン(stress hormones)の分泌レベルを上げて、警戒態勢に誘導する。
ところが、生まれて間もないネズミが、ある一定期間(critical period)、ネコの臭い成分にさらされると、その後、一生、そのネズミはネコの警戒心を喪失してしまう。いや、脳に警戒信号が発せられても、逃げられなくなってしまうのだ。
何とも恐ろしい化学兵器である。これなら、やすやすとネズミを捕まえられる。
人間の住むところに、ネズミが発生し、これをエサにするネコがまた住み着く。ネズミはネコから逃げたくても、人間のいないところでは生きて行けない。ネコはこの辺の事情をよくわかっているのかも知れない。とにかく、人間のそばにいると、エサに困らないのは事実。ネコの巧みの技には、「食うものと食われるものとの間(predator-prey pairing)」で展開された数千年の歴史があると言える。
(写真は添付のBBC Newsから引用)