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殺虫剤リンデンに発がん性確認:WHO報告 (BBC-Heath, June 23, 2015)

http://ichef.bbci.co.uk/news/768/cpsprodpb/13A24/production/_83802408_f0090492-lymphocytes_and_cancer_cell-spl.jpg

 もう50年以上も昔のこと。「金と、欲と、権力」にしがみつく巨大な「環境汚染会社」を相手に、独りで立ち向かった女性がいた。レイチェル・カーソン(Rachel Louise Carson)だ。
カーソンは、空中散布されるDDTが、たとえ低濃度であってもそれが食物連鎖と生物濃縮(bioaccumulation)の過程を経て数千万倍(×10の7乗)に濃縮され、それが環境、生物、そして人間の健康を阻害することを指摘した。当初、関連業界から猛烈な反発と嫌がらせを受ける。ようやくのこと、米国がDDTを販売禁止にできたのは、カーソンの死から7年後の1971年のことであった。

 日本では、つい先日まで、市民には「屋外に出るな、窓は閉めろ」と警告し、堂々とヘリコプターで田畝に種々の農薬散布を行なっていたものだ。それに4年前には、前代未聞の莫大な量の放射性物質を空中・地中・海中に放出する事件(事故)もあった。いずれも「すぐには健康に影響しないレベル」の化学物質と称する。何とも市民の健康を大事にする近代民主国家のことだ。
                                   
  このほど、国際健康機関(The World Health Organizations, WHO)の専門小委員会(special panel)は、殺虫剤リンデン(lindane)が、ガンの一種「非ホジキンリンパ腫(non-Hodgkin lymphoma)に関連していることを示す確証(sufficient evidence)を得た、と発表した。
 リンデンの別名は「ベンゼンヘキサクロリド」。EU諸国、イギリスではすでに販売禁止。しかし、一部の発展途上国では現在でも使用されている。(日本では7年前の2003年に販売禁止。)この化学物質は、殺虫剤の用途の他にも「シラミ・かゆみ止めの薬(head lice & scabies treatments)」の有効成分として、中国、インド、米国、カナダなどの国で認められているという。

 国際ガン研究機関(The International Agency for Research on Cancer, IARC)は、これとは別の殺虫剤DDTについても、「発がん性が疑われる物質(probably carcinogenic to humans)」であると断定した。DDTは1971年に米国で販売禁止となっていて、現在、目にすることがない化学物質だ。しかし、食べ物に残留したDDTの危険性が拭い切れないという。

 さらに、除草剤2,4-D も「発がん性が疑われる物質」だ。1945年から世界中で使用されるようになったが、直接この除草剤に触れる製造メーカー職員や農家の人はもちろんのこと、一般市民にとっても、食品、水、埃に紛れて体内に入り込む2,4-D、あるいは不用意な扱いや散布によって、皮膚に触れる2,4-Dなどは全て危険だ。ガン発症のリスクにさらされる機会が多くなったと言える。なお、記事の詳細は、「Lancet Oncology journal」に掲載された。
                                   (写真は添付のBBC Newsから引用)

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