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職場のイジメ:加害者のずる賢さに負けずに問題を解決するために (RTE-News, Nov 13, 2023)

Bullying in the workplace can have harmful effects on employees and may come in a variety of forms (Alamy/PA)

 「姑(しゅとめ)の嫁いびり」は昔からあったという。しかし、近頃は、国会・地方議会の議員あるいは地方自治体の長が、昔の姑(しゅうとめ)の真似をして、弱い立場の事務担当者をイジメることがはやっているという。なんとも「優れた人物」が選挙で選ばれているものだ。

 

 そのイジメの機運が職場にまで蔓延しては、社会が暗くなる。イジメの多くは「subtle and insidious (巧妙で狡猾)」だからだ。それに、イジメが表ざたになると、加害者はあらゆる権力や伝手(つて)を使い、必死になって

 

・隠蔽(いんぺい)工作

・握り潰し

・ごまかし

・言い逃れ

・言いわけ

 

に奔走(ほんそう)するのが常だ。

 

 さて、職場は厳然とした「hierarchy (ヒエラルキー、階層社会)」だ。平社員が目上の上司に睨まれて、明智光秀が信長から執拗に受けたようなイビリ・イジメにあったなら、たまったものではない。しかし感情のもつれ、確執がない職場などないのが現実だ。

 では、実際に職場の同僚あるいは上司からイジメを受ける立場になったら、どうすればよいだろうか。「Primas Law (プリマス法律事務所)」で雇用法を専門とする弁護士として働く Ms Danielle Ayresは、「workplace bulling (職場のイジメ)」の特徴を

 

It :

・occurs over a period of time.(一定の間、続き)

・can be a process of emotional, micro-aggression or manipulation. (感情的で、マイクロ・アグレッシブで、思いどおりに事を運ぼうとする態度の現われ)

 

と捉える。

 

1.What are the signs?:イジメの兆候とは

 イジメの形態は、実にさまざまだ。加害者 (perpetrators)の行動に如実に現われるものもあれば、表面に現われないイジメもある。けれども、直接的または間接的であれ、被害者 (victims)を

 

・hurt:傷つけ

・belitte:けなし

・isolate a person:孤立化

 

させることに変わりはない。加害者が一人のときもあれば、複数(グループ)のときもあり、スマホの「Text message」、「e-mail」などの文書スタイル (written communication)で攻撃することもあれば、電話であるいは相手に向かって「verbal bulling (口頭でいじめる)」こともある。

 

 だれにとっても職場は人生の大半を過ごす場所だ。その職場でイジメを受けると、人生が悲惨になり、

 

・breaking down confidence and self-esteem:自身と自尊心が打ち砕かれ

・leaving individuals feeling extremely low and upset:気分が極端に落ち込んで、心がかき乱される

 

 さらに、場合によっては

 

・anxious:不安

・depressed:ウツ

 

に追い込まれて、結果的に病気を発症することさえあるという。

 なお、イジメの「warning signs (警戒すべき兆候)」としては、

 

・becoming withdrawn:(性格が) 引きこもりがちになる

・stopping engaging with colleagues:同僚との交流がなくなる

・their work dropping in standard or productivity:仕事のレベルが下がる

・increased absenteeism:欠勤が増える

・changes of personality:性格が変わった

 

したがって、雇用者 (enployers)は、上記の兆候に気を配り、問題 (what’s wrong)の発見に向けて行動を起こす必要がある。

2.What if the bulling is done by a manager:加害者がマネジャーであったら

 残念ながら、イジメの加害者 (perperators)が上司(マネジャー)であることも少なくない。そのイジメは、とりわけ「subtle (巧妙)」だ。チームのコミュニケーションを一手に握っているからであり、意識的であれ、無意識的であれ、

 

・allocating excessive workloads:過度の仕事を割り当てる

・contacting an employee outside of their working hours:勤務時間外にコンタクトを求める

・singling them out for criticism in front of the rest of the team:チームの面前でやり玉に挙げて叱責する

・excluding them from information communication:仕事上の情報(ミーティング連絡など)を与えない

 

などのイジメが起こることもあれば、他にも

 

・チームの飲み会・昼食会に誘わない

・重要な仕事を回さない

・人事評価(昇給)でえこひいきする

・異常なほど厳しく当たり、欠点だけを責め立てる

・できそうにもない目標設定を強要される

・業績を挙げているのに、業務改善計画の提出を強要される

 

などの例がある。こんな調子で、常に上司からイジメを受けていると、

 

・very embarrassed:どうしたら良いか分かなくなって

・isolated her from the rest of the team:チームの他の仲間から孤立

 

してしまう。

3.What should victims do?:イジメにあったら どうすれば良いか

 3.1 記録する

 職場でイジメを受けたら、その内容を詳細に記録することだ。(記録することでイジメの進展状況、相手の意図・行動の悪質性が浮き彫りになる。それに、後日、どうしようもない状況に追い込まれて、苦情相談室あるいは法定に駆け込んだ際に必要とされる被害証拠にもなる。)

 記録する内容は

 

・いつ

・どこで

・だれによって

・どのようなイジメ(ハラスメント)を受けたか

・その場に同席した目撃者 (witnesses)の氏名

・そのときの苦痛レベル

・どのように対処したか

3.2 ファースト・ステップは、表沙汰にしない非公式の解決を

 職場イジメを解決するために、被害者がとるべき手段の第一歩として、弁護士Ms Ayresが勧めるのは、

 

・Try and sort the matter out informally.(表沙汰にしないで非公式に問題の解決を図る)

 

 具体的には、直接の上司 (line managers)に「事の真相」を説明し、対処・解決を望んでいることを伝える。(ただし、上司がイジメの加害者でない場合に限る。)

 

 なお、加害者 (perpetrators)は、被害者 (victims)の気持ちがわからずにイジメを繰り返していることもあるので、加害者の言動が不快でイジメと感じたら、その旨をきちんと相手に伝えるのも一案 (alternative avenue)だ。

 

3.3 苦情(ハラスメント)対策室に適切な措置を願い出る

 それでも、イジメが続いたり、希望どおりの解決がなされないときは、事業体の「grevance procedure (苦情処理手続き)」に措置を願い出る。

 

3.4 法的措置

 所属する事業体(会社等)が迅速な対応を渋ったり、怠ったり、あるいは。苦情処理の進捗状況の連絡がないときは、最後の手段として残るのは「legal action (法的措置)」。

 

3.5 付記

 日本で働く人をイジメ(bulling)、ハラスメント (harassment)から守ってくれる法律は「男女雇用機会均等法」だ。全国の政府公共機関、大学、企業等の事業主は、ハラスメント防止処置と、事業体の組織内にハラスメント対策室を設置することが義務づけられている。イジメ・ハラスメントの被害を受けて困っている人には、ぜひ、その相談対策室の活用を勧めたい。なお、相談に際しては、信頼できる友人あるいは信頼できる上司の同伴が望ましい。相談する側が複数であれば、何よりも心強いし、発言の間(ま)を利用して良く考えることができる。

 

    (写真は添付のRTE-Newsから引用)

www.rte.ie