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人工甘味料「アスパティム」︰ IARCは発ガンの可能性ありと判断 (BBC-News, June 29, 2023)

Women drinking cola

 甘さは砂糖の200倍で、カロリーゼロ。このため、

・Diet Coke, Coke Zero, Pepsi Max, 7 UP Free

などのダイエット飲料、チューインガム、一部のヨーグルトをはじめ、約6,000種にのぼる食品に使用されている甘味料。それが人工甘味料「Aspartame (アスパティム、アスパルテームAPM)」だ。その「Aspartame」が公式に

 

・Possibley categories to humans (ヒトに対して発ガンの可能性がある)

 

物質に指定されることになった。(詳細は 7月14日出版の医学雑誌 The Lancet Oncologyに掲載予定。)

 

 WHOの管轄下にある「Cancer research arm (ガン研究調査部門)」の「The International Agency for Research on Cancer (国際ガン研究機関 IARC)」が、これまで世界中で発表された約1,300件にのぼる「Aspartame and cancer」に関す研究内容を精査した結果、アスパティムには発ガンリスクの疑いがあると判断したのだ。

 ただし、その「発ガンリスク」の言い回しが混乱を招いている。

 

 さて、IARCは「発ガン性物質」を次の 4種に分類する。

Group 1:Carcinogenic to humans (ヒトに対して発ガン性がある)

Group 2A : Probably carcinogenic to humans (ヒトに対して恐らく発ガン性あり)

Group 2B: Possibly carcinogenic to humans (ヒトに対して発ガンの可能性あり)

Group 3: Not classifiable (発ガン性について分類できない)

 

 この表記で「Probably」と「Possibly」の英語の使い分けもまぎらわしいが、そもそも、IARCのカテゴリーは『発ガンリスク」の実質的なレベル (actual level of risk)を表わすものではない』というから、さらにややこしい。

 

 The Open University統計学専門 Kevin McConway教授によると、

 

・IARC tells us how strong the evidence is, not how risky a substance is to your health.

・The "possibly" category is used when there is 'limited evidence in people or data from animal experiments. It includes diesel, talc on the perineum, nickel aloe vera, Asian pickled vegetables and a host of chemical substances.

 

[ IARCのカテゴリーは発ガン性の(医学的)証拠の強さを示すものであって、ヒトに対する発ガンリスクの強さを示すものではない。]

[ ”発ガンの可能性あり”のカテゴリーは、ヒトまたは動物実験データにおいて、発ガン性に関する限定的な(医学的)証拠が認められるときに、適用される分類区分であり、このグループには

ディーゼル排気ガス

ベビーパウダー

・ニッケル

アロエベラ

・漬物

・他 多くの化学物質

が含まれる。]

 

 ただし、WHO/FAO合同食品添加物専門会議によると

 

・Its stance since 1981 has been a daily intake of 40 milligrams, per kilogram of your body weight, per day was safe. That works out at between 12 and 36 cans of diet drinks (depending on exact ingredients) a day for a 60 kg (nine-and-half stones) adult.

[ 人工甘味料アスパティムの安全性に対する考え方は、1981年以来一貫している。すなわち、1日の摂取量が体重 1kg当たり 40mgまでなら心配ない。この値は体重60kgの成人の場合、ダイエット飲料12- 36缶 (成分率は商品により異なる)に相当する。]

 

 なお、今回の IARCの発表を知って、The International Council of Beverages Associations (国際清涼飲料協議会)事務局長Ms Kate Loatmanは戸惑いを隠せず、次のように訴える。

 

・It could needlessly mislead consumers into consuming more sugar, rather than choosing safe no-and low-sugar options.

[ IARCの決定は、消費者の心を不必要に惑わし、安全なシュガーレス・ローシュガー・ドリンクを避けて、糖分の多いドリンクを手に取らせてしまいかねないものだ。]

 

おわりに:ややこしい政治・経済界の駆け引きで、食品の安全性があいまいになっては困る。けれども、この世で、人工甘味料がからだに良いと本気で思っている人はいるだろうか。業界にとって都合の良いデータだけを盾に取って、「人工甘味料のどこが悪い」と不必要に目くじらをたてて居直っては、かえって、その商品と組織の不健全性が怪しまれるだけだ。消費者は言葉の言い換えに振り回されずに、「ガンの発症リスク」が否定できないなら、それをできるだけ避けることが賢明だ。

      (写真は添付のBBC-Newsから引用) 

www.bbc.com