スマホを使いすぎる思春期の子ども:社会に不満を抱く子ども! (BBC-health, Mar 29, 2022)
今や、スマホは思春期の子ども達にとって、教科書よりも大事な必需品。その頭の中は、寝ても覚めてもスマホ、スマホ、スマホ。チャットや遊び友だちからのメールが気になってしかたがないのだ。それに、知りたいことなら何でもネット検索で知ることができる。毎日がぞくぞく、わくわくの連続だ。
あれやこれやで、スマホの使用時間は増える一方。なかには睡眠時間を超えるこ子どももいるという。こうなると、ほとんど「ネット中毒」の状態だ。
とくに思春期(14−19歳)の子どもの身体は
・brain development:脳の発達段階にあり
・hormonal change:性ホルモン機能が動き出し
・social circumstance:社会環境の変化を受けやすく
ソーシャルメディア (スマホ、インターネットなど)に対して脆弱で傷つきやすいもの。
そこで、Oxford大学の Dr Amy Orbenらの研究グループは、子ども達のソーシャルメディアの使用時間が「生活上の満足度 (life satisfaction)」にどのように影響しているのかを明らかにするため、約72,000人を対象にした大規模な「household survey (世帯調査)」を実施した。調査回数は2011年から2018年にかけて 7回に及んだ。
その結果、
・16− 21歳の子ども:ソーシャルメディアの使用時間がゼロまたは極端に長い (7時間以上)のこどもは、短い (3時間以下)の子どもに比べて生活に不満を抱いていた。
・15歳以下の子ども:ソーシャルメディアの使用時間に反比例して幸福度が低下する
ことが分かった。
さらに、10- 21歳の子ども 17,409人を対象にした 7年間に及ぶ「snapshot survey (任意なサンプリング追跡調査)」を実施したところ、
・11− 13歳の少女:調査最終年度の1年間でソーシャルメディアの使用時間が増えた子どもは、その1年後に生活上の不満を訴えることが多かった。(研究内容の詳細は「Nature Communication」に発表。)
今回の調査は、単にソーシャルメディアの使用時間に焦点を絞ったものであり、「思春期の子どもの幸福度 (teenage well-being)」に重大な影響を与えると考えられる、ソーシャルメディアの内容やスマホ上の連絡相手などに踏み込むことはできなかった。
Mancheser大学の Bernardka Dubicka教授によると、子ども達にとって「ソーシャルメディアが有益か、それとも有害か」の議論は、「unhelpful dichotomy (無用の対峙論)」。むしろ、何が有益で、何が有害であるかをはっきりさせることが重要と指摘。
思春期の子どもは、心(感情)が不安定で、傷つきやすく、だまされやすい。それに、周囲の刺激、罵声、いじめにあうと、簡単に心が折れる。膨大な利益を上げているソーシャルメディアは、この子ども達からお金を巻き上げたり、食いものにしてはいけない。むしろ、適切かつ有益なソーシャルメディアの活用法を早急に提示すべきだろう。
おわりに:スマホは両刃の剣。使い方をまちがうと、とんでもないことになる。このことが十分に理解されていない。
(写真は添付のBBC-Newから引用)