グーグルAI診断アプリ:患部の写真と症状の入力だけで診断可!(BBC-Tec, May 19, 2021)
医療ミスや誤診はあってはならない。医療は慎重に慎重を重ねるべき行為だ。しかし、「間違いは誰にでもある」ことを盾にとり、医療ミスがあっても謝罪することはないし、なぜ間違えたのかの説明もない(ことが多い)。そんなとき、医者はひたすら保身に走るか、逃げ隠れてしまう。
また、「医療措置に関する承諾書」もひどい。説明がないのに、患者には、「医療上のリスクについて十分に説明を受けた」との欄にチェックするように催促する。
誰もが、そんな医療に飽き飽きしながら、仕方がないので、病院に向かう。
多忙を理由にぞんざいな診察しか できない不誠実な医者が、なんと多いことか。
そんな時代の救世主として期待されるのが「AI診断」だ。
Googleのオンライン開発会議 (Google IO)で発表された「Dermatology Assist Tool (皮膚科アシスト・ツール)」には、目を見張る。開発に3年を要した、このAIアプリは、今年後期に臨床試験に入る予定とか。
すでにEUの安全基準適合マーク「CE mark」を取得済みだ。個人が患部の写真を入力し、いくつかの質問に答えると、膨大な医療データベースに基づいて、的確な診断結果を知らせてくれる。
なにしろ、データベースには、65,000枚の実際の診断画像、数百万枚に及ぶ皮膚のトラブル症状、それに数千枚を数える健康な皮膚の画像が収納されている。AI (人工頭脳)は、入力データをデータベースに照合し、アルゴリズムに従って結論を下す。おそらく、どんなに優秀で、どんなに誠実な名医であっても、結論を導く基盤の確かさ、誠実さにおいては、とうてい敵わないと思われる。
しかし、Googleは控えめだ。この医療診断アプリは、人間の診断・治療の代わりを務めるものではない。あくまで、「Assist Tool (アシスト・ツール)」と譲らない。
なお、皮膚科の専門医は、このアプリを利用すると「tailored treatment (個々の患者に最適の治療)」が可能になると言う。
けれども、AIツールが画期的な点は、他にある。
これまで、古い、新しいに関わらず、医療 (情報・知識)は、医者の仲間だけに共有、専有されてきた。その状況を覆(くつがえ)すのがAIだ。誰もが、最先端の医療診断ツールを入手できることになる。
「Dermatology Assist Tool (皮膚科アシスト・ツール)」は、今のところ、USのFDAから認可が降りていない。しかし、「British firm Optellum」が開発した、肺ガン診断アプリが、すでに承認されていることから、使用許可が降りるのは時間の問題と思われる。
なお、Googleによると、皮膚、髪の毛、爪などの皮膚科トラブルが気になって、ネット上で検索される回数は、年間約100億件に及ぶとか。
おわりに:もちろ、AI診断に間違いがないとは言い切れないが、まともな説明もできず、医療ミスが多く、不誠実な医者に比べたら、はるかに信頼が置けるだろう。AI診断の次は、信頼できる治療システムの開発が待たれる。医療システムの抜本的な見直しが迫られていることは明らかだ。
(写真は添付のBBC Newsから引用)