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それでも、まだ飲み続けますか?:ビタミン・サプリ剤は有害でも (BBC-Future, December 8, 2016)

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 根も葉もない噂や、大した根拠もない情報が一人歩きし、これに人が動かされてしまうことは多い。薬局の棚にところ狭しと並ぶ、ビタミンC をはじめとする各種のビタミン剤にサプリメント。その医学的根拠は十分なのか。BBC の記者 Mr Alex Riley はこの疑問に真っ正面から答える。レベルの高い、優れた迫真の英文解説と見た。

 あの著名な「Linus Pauling (ライナス・ポーリング [1901-1994])」でさえ、亡くなるまでビタミンC を盲信した。Pauling はノーベル賞を 2 度も受賞したアメリカ合衆国の科学者。量子化学を築いた「20 世紀科学の巨匠 (colossus)] と称えられている。

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 しかし、その Pauling が過ちを犯し始めたのは 1964年。Pauling が 65 歳のときだ。
 Pauling は、毎朝飲むオレンジジュースに、スプーン山盛りのビタミンC を加えるようになった。それは、1 日の許容摂取量の 50倍に当たる18,000 mg。
 ビタミンC は風邪にもインフルエンザ (flu) にも、あげくの果てに HIV にも効くと、ノーベル賞受賞者のPaulingが主張すると、世の中では、心臓血管疾患(cardiovascular diseases)、白内障 (cataracts)、ガン (cancers) にも効果があり、老化を防ぐとまで言われ始めたのだ。

 このような情勢のなかで、ほとんど科学的な根拠を欠いているにもかかわらず、総合ビタミン剤 (multivitamins) や栄養補助食品 (dietary supplements) が、その販売を急速に伸ばした。

 事実、Pauling は、過剰なビタミンCを摂り始めてから、健康になるどころか、徐々に体調を崩した。

 確かに、適切な摂取量 (correct dose) であれば、ビタミンC、ビタミンE、βーカロチン、葉酸 (folic acid, Vitamin B9) などの「抗酸化物質 (antioxidants)」は、体内のフリー・ラジカル (free-radicals) を消す去るのに有効だ。しかし、Pauling が見落としたのは、ビタミンC を過剰に摂取したときのメカニズム。もちろん、少々、ビタミンC などの抗酸化物質が多くても、体の浄化機能が働いて、尿として排出されるので問題ばない。
                                         
 ところが、ビタミンCがその浄化機能の能力以上に摂取されると、ビタミンC 自体がフリー・ラジカルに変身し、細胞やタンパク質、DNA を傷つけて、結局は、細胞の老化を早め、ガンの発症リスクも高めてしまうことが分かった。

 1994 - 2011年に掛けて実施された、大規模な各種の臨床試験によると、βーカロチン、葉酸 (ビタミンB9)、あるいは βーカロチンとビタミンA の摂取が、それぞれ肺ガンや乳ガンの発症リスクを 16 - 28%も高め、総合ビタミン剤 (multivitamins) あるいはビタミンEセレンサプリメント (selenium supplementation) の摂取は、前立腺ガン (prostate cancer) の発症リスクを大幅に引き上げることが立証された。

 Pauling は、結局、前立腺ガンに罹り、その「ビタミンC は万能」の提唱が支持されることなく、1994 年に息を引き取った。

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 さて、現代医学の結論は「Eat your five-a-day.」( 1 日 5 種類の野菜・果物を食べること。)
 これは、英米の学校の教室に張ってある標語と同じとか。むやみやたらに、ビタミンC や他のビタミン剤、サプリメントに手を出さないことだ。

                                 (写真は添付のBBC Newsから引用。)

www.bbc.com