抜け毛、脱毛症、禿(はげ)の悩み:新薬が見つかった! (BBC-Health, May 9, 2018)
恐怖は極端だが、不安」、煩(わずら)い、怒りに悩みなどの情緒は誰でも経験する。しかし、くよくよしても問題の解決にはならない。
「悩む」には「病む」の意味もあり、あれこれと心がかき乱された上、『気持ちや体から活力が抜けて弱ること(大野晋:古典基礎語辞典)』が原義だ。そして心が焼け焦げるような苛立ちに苦しむ状態になると、「煩(わずら)う」と言う。
「悩む」、「煩う」のどちらにせよ、そのまま放って置くと、状況が悪化することがある。強いストレスとなり、それが長い間続くと、うつ病などの「心の病 (mental health)」の発症リスクが高まる他、ときに、髪の毛が抜ける「円形脱毛症 (alopecia areata)」などを引き起こす。
突然、髪の毛が抜け出すと、誰しも心配になる。「抜け毛 (hair loss)」は、「よくある疾患 (common disorder)」とは言え、本人に与える心理的なダメージは大きい。「self-esteem (自尊心)」が傷つき、「confidence (自信)」を失いかねない。
ところで、こんな症状はありませんか。
・sudden hair loss.
・developing bald patches.
・losing hair in clumps.
・head itching and burning.
・worry about hair loss.
・突然、髪の毛が薄くなった
・部分ハゲが拡大する
・髪の毛がまとまって抜ける
・頭がかゆくて、ヒリヒリする
・抜け毛が心配
朝、起床したとき、枕の上に落ちた髪の毛が、普段に比べて多くなったら、要注意。
しかし、
"Hair loss is a daily occurrence and generally nothing to worry about"
[抜け毛は、よくあること。大抵、心配するほどのことはない(すぐに治る)。
ただし、抜け毛の症状が長く続くか、悪化するようであれば、専門医の診断、治療が必要となる。
現在、脱毛症 (balding)、医学用語で「androgenetic alopecia (アンドロゲン性脱毛症)」の患者に処方されている治療薬は、次の 2種類だけ。
・minoxidil(ミノキシジル) :for men and women
・finastride(フィナステリド):for men only
残念なことに、いずれの治療薬も NHSの医療サービス・リストから外されている。また、頭皮の痛みなどの副作用 (side-effects) が現われ、治療薬が良く効く人もいれば、まったく効かない人もいる。
実は抜け毛や脱毛症の発症メカニズムは、よく分かっていないのだ。一般には、毛髪などの細胞の増殖に不可欠な分泌性糖タンパク質 WNTの「molecular pathway (分子経路)」が、「タンパク質 SFRP1」によってブロックされるためと、説明されている。
そこで、Manchester大学の Dr Nathan Hawkshawらの研究グループは、タンパク質SFRP1の働きを抑制することにチャレンジし、「骨粗しょう症 (osteoporosis)」の治療薬「Way-316606」に、その抑制効果があることを突き止めた。(研究結果の詳細は医学雑誌「Plos Biology」に掲載。)
なお、研究では、「Way-316606」に深刻な副作用が確認されなかったという。
抜け毛や脱毛症に悩む人にとっては、待ちに待った朗報だ。
Dr Hawkshawらは、今後、さらに「臨床試験」を重ねて、「薬効性と安全性(effectivity and safety」を確かめる予定とか。
(写真は添付のBBC Newsから引用)