名医も診断が難しいパーキンソン病:麝香 (ジャコウ) が決め手! (BBC-News, December 18, 2017)
体から香気を発するのは麝香鹿 (ジャコウジカ) だけではない。麝香鼠に麝香猫、麝香羊、麝香アゲハもそうだ。しかし、なぜか、麝香のような匂いを発する人もいることがわかった。
さて、「パーキンソン病 (Parkinson's disease)」は手足が震え、歩行・会話、睡眠にまで支障を来す病気。
"Currently there is no definitive test for the disease, with clinicians diagnosing patients by observing symptoms.
"This is how the disease has been diagnosed since 1817, when James Parkinson first established it as a recognised medical condition."
[ 現在、この病気を診断する決定的な検査方法は存在しない。このため、医者は患者の症状を観察して診断して来た。]
[ その診断方法は、1817年、ジェームズ・パーキンソンが、始めて、この病気特有の症状を報告して以来、基本的に変わっていない。]
もちろん、パーキンソン病の発症メカニズムも十分に解明されていないため、その治療には困難を極めるとされる。イギリスでは 500人に 1人がこの病気に罹患し、イギリス全土の患者数は 127,000人(日本の推定患者数:約 20万人)。
ところが、まったくの偶然 (serendipity) から、画期的かつ正確なパーキンソン病の診断方法が見つかった。それは、患者が発する特有の「匂い (odour」だった。
オーストラリアの西海岸 Perth (パース)に住む Ms Joy Milne は、夫が 34-5歳のとき、夫の異様な匂いに気づいたという。そこで、「シャワーは浴びたの?」、「歯をよく磨いたの?」としつこく尋ねた。
"It was a new smell - I didn't know what it was. I kept on saying to him, and he became quite upset about it. So I just had to be quiet."
[ それは、今まで経験したことのない匂いだったの。私は、それが何だか分からなかったので、夫に言い続けていたのよ。すると、夫はとても怒ったの。それで、その後は、黙っているしかなかったわ。]
それから約10年後、Ms Milne の夫は 45歳のとき、医者からパーキンソン病と診断され、65歳で死亡した。
やがて、看護師の仕事をしていた Ms Milne は、夫以外のパーキンソン病の患者からも同じような匂いがすることに気づく。
これを知った Edinburgh大学の Dr Tilo Kunath は、Ms Milneに「匂いでパーキンソン病患者を診断、特定する検査」を依頼する。なんと、その検査の的中率は100%だった。
その後、Manchester 大学の Perdita Barran教授が、その「匂い(odour)」成分を「mass spectrometer (質量分析計)」によって分析したところ、特殊な化学物質 10種が検出されたという。
病気の治療は早期発見がカギ。この診断技術が、一刻でも早く、医療現場に適用されることを心から願いたい。
(写真は添付のBBC Newsから引用)