ワイングラスのサイズが違うと:何が変わるの? (BBC-Health, December 14, 2017)
ワイングラスに盃(さかずき)。いずれも、ワインやお酒を注ぎ込んで、口にするには適した入れもののサイズがあるはずだ。かって、桜の木に下で車座に座って酒盛りをするとき、あるいは背伸びした血気盛んな学生が、粋がって一気飲みするときなどは、茶碗どころか、漆塗りの大盃や中華鍋が使われた。これでは、どんな健康自慢の若ものでも、体を壊してしまう。
さて、ワイングラスのサイズが違うと何が変わるだろうか。
Cambridge大学の Tereda Marteau 教授らの研究グループがワイングラスの変遷について調査したところ、1700年代、グラスのサイズは平均 66mlと小さめであった。それが現代では 449mlのサイズが一般的になった。その差は約7倍。そのせいもあってか、1980-2004年の 25年間でワインの消費量は約 2倍に上昇した。
とくに、1990年代以降は、USで大きめのグラスが好まれ、これに準じてイギリスでも大型のグラスが製造されたため、ワイングラスのサイズはドンドン大きくなっていった。
ただし、イギリスのパブ (pubs) では、今でも 125ml、175ml、250mlの3種のワイングラスを選択できるという。グラスの大きさは人の好みの問題だが、大きなグラスに、自分の適量を越えてワインを注がれると、飲酒を強要されているようで、抵抗感を覚える人もいるようだ。
Marteau 教授によると、大きなサイズのワイングラスをテーブルに置くと、つい飲み過ぎてしまうという。その理由は、
"We speculate there are two main mechanisms: capacity - the larger a container, the more we poour into it, and perceptual - the same amount looks smaller in a larger container than a smaller one."
[ おそらく、主として 2つのメカニズムが働くと考えられる。一つはグラスの容量。グラスのサイズが大きいと、それだけ多めにワインを注ぎ込んでしまう。また、2つ目は知覚の問題。グラスに同じ量のワインを注いでも、グラスのサイズが大きいと、量が少ないように見えてしまうのだ。]
この仮説を立証するために、Marteau 教授は Cambridge の pablic bars (パブ) 3軒で実験を実施した。グラスに一度に注ぎ込むワインの量をこれまで通りにして、グラスのサイズを大型に変えたところ、3 軒の内 2 軒のパブで売り上げが伸びたという。
ところで、ワイングラスのサイズが歴史的に大きくかわったのには、実用的な理由もある。それは、グラス内の空間がワインの「味わい(taste)」、「品質(quality)」に影響するからだ。
"Red wine, for example, is served in a larger glass to allow it to breathe, something which perhaps wasn't a pritority 300 years ago."
[ たとえば、赤ワインを大きめのワイングラスに注ぎ込むと、ワインの香りが引き出される。それは、おそらく 300年前には大して重要視されなかったことかも知れない。]
しかし、イギリスでは、この 10年間でワインの販売量が6%減少し、1人当たりのワイン消費量も 10%落ち込んだ。
なお、イギリス NHS(国民保険サービス)が定めるアルコール摂取のガイドラインに従うと、ワイン (アルコール度11.5%) は、週に小さなワイングラス (175ml) で 7杯分。健康のためには、これが限度どされる。
(写真は添付のBBC Newsから引用)