ハチミツ:先史時代の人類も愛したスイーツ (BBC-Science & Environment, November 11, 2015)
COD (Concise Oxford Dictionary) によると、その昔、イギリス人は、「honey (ハチミツ」を「hunig」と言った。その語源は、独語「honeg」に由来する。しかし、さらにその語の源(みなもの)を遡(さかのぼ)ると、サンスクリット語で「kancana」、ギリシャ語で「knekos」にたどり着く。いずれも「gold-coloured (黄金色の)」の意味だ。
ところが、ハチミツの歴史は、その程度で収まらない。
最近のDNA研究によると、ミツバチが地球上に現われたのは、およそ30万年前のこと。当初は、アジアで生息し、その後、ヨーロッパ、アフリカ大陸へと急速に生息地を拡大した。しかし、今から約7万年前に、地球が最後の氷河期に入ると、その数は激減し、わずかに、ヨーロッパ大陸の一部で生き残った。
やがて、その氷河期も去り、約1万年前になると、人類は、「狩猟採集 (hunter-gathering)」の生活から、作物を育て、家畜を飼ってその肉やミルク、毛皮を役立てる生活へと、生活様式を変えて行った。
この頃の生活の様子は、洞窟の壁に描かれ、その中に、「ハチの巣 (honeycombs)」や「ハチの群れ (swarms of bees)」、「ハチミツ採取 (honey collecting)」などの図を目にすることができるという。しかし、これまで、先史時代の人類が、ハチミツを利用したとする「直接の証拠 (direct evidence)」は見つかっていなかった。
この証拠が科学雑誌「Nature」に発表された。Bristol大学の Richard Evershed 教授を中心とする国際研究チームが、先史時代の「土器 (pottery)」6,000点を調べ、ついに、「蜜ろう (beewax)」の「痕跡 (traces)」を発見したのだ。
最も古いものは、現在のトルコの地から発掘された「土鍋 (potterry vessels)」の中にあった。その数千年後には、バルカン半島一帯から中央アジアまで養蜂が広がり、ギリシャ、ルーマニア、セルビアの先祖は蜜ろうを利用していたこともわかった。また、この時期に、北アメリカで、ハチミツの利用が始まったことも確認されている。
先史時代の人類にとって、ハチミツは、めったに口にできない「貴重なスイーツ」。しかし、ミツバチを飼い (domesticated)、そのハチミツや蜜ろうを薬や食料として利用した人類の祖先がいたのだ。それはまさに、「gold」よりも強く惹かれた (keen interst)「黄金色の (golden-coloured) 甘い液体」であったに違いない。
それにしても、ハチミツの採取者は、どんなにミツバチに刺されたことだろうか。
(写真は添付のBBC Newsから引用)