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つかまって、たまるか:魚は進化する (BBC-News, August 5, 2015)

http://ichef-1.bbci.co.uk/news/800/cpsprodpb/2D89/production/_84675611_hi027990843.jpg

 漢字「魚」は、まさに象形文字の代表格だ。その頭が滝を昇る魚のように上向きに書かれるのもいい。魚は泳ぎが速い。速くなるように進化(evolution)した。速く泳げる泳法の秘密は、その体型、鱗(うろこ)の配列、粘液、尾ひれの動きなどに隠されている。

 しかし、魚の群れ(school)を見ると、個々の魚に水泳能力(swimming ability)の差が現われる。速く泳げない魚(poor-swimming fish)はどうなるか。残念ながら、トロール船で追いかけられたとき、命を落とすことになる

 どこの漁場でも、トロール船は、ねらう魚の最大遊泳速度で10分から数時間、網を引き続ける。魚は、網から逃れるために全速力で、網の出口に向かって泳ぎ出す。このときの数分間が、魚にとって捕まるか、そこから逃れ切れるかの勝負どころだ。ここで疲れ切ってしまうと、網から出られなくなり、結局は網に引っ張られる格好になる。

 はたして、トロール船に捕まる魚と捕まらない魚に、水泳能力意外に違いがあるのだろうか。この疑問に答えるために、イギリスGlasgow大学の研究チームが、水槽を使ったトロール漁業の模擬実験(simulated trawling)を行なった。
 実験用に選んだのは、コイ科の小型淡水魚「ミノウ(minnows)」43匹。この魚の水泳能力(swimming ability)、新陳代謝率(metabolic rate)、好気性及び嫌気性体力指標値(aerobic and anaerobic physical fitness)を測定した。

 さて、水槽の中で、トロール船のようにミノウを追いかける実験の結果である。水泳能力、新陳代謝率のいずれにも優れた魚ミノウは、模擬トロール船から逃げ切れる確率も高いことがわかった。(研究内容は「Proceedings of the Royal Society B」に発表)
 このことから、次のことが推定できるという。

"Over time, the selective removal of poor-swimming fish could alter the fundamental physiological make-up of descendant populations that avoid fisheries capture."

[魚が長年にわたって、トロール船に追い掛けられていると、速く泳げない魚は淘汰され、生き残った魚の子孫は、トロール船から逃れ切れるように、体の「基本的な生理機能」を変えて行く可能性がある。]

 しかし、魚の進化が、いつか人間の「知恵」を追い越したら、どんなことが起こるだろうか。           
                   (写真は添付のBBC Newsから引用)

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