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20代の若ものが危ない:大腸ガンが急増! (BBC-Health, May 17, 2019)

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 20代、30代の若ものは、まさか自分が大腸ガン (bowel cancer)に罹るとは思ってもみない。ところが、ほとんどの先進国で、50歳以下の青年・中年層、とくに20代の若ものに大腸ガンが急増していることが明らかになった。

 原因は定かでない。しかし専門家は、若ものの「obesity (肥満)」と「poor diet (いい加減な食生活)」が大きく影響していると見ている。

 WHO「International Agency for Research on Cancers (国際ガン研究機関)」のDr Marzieh Araghiらの研究グループが、世界の高所得国 (UK, Australia, Canada, New Zealand, Denmarkなど)の大腸ガン発症率を分析し、その結果を医学雑誌「The Lancet Gastroenterology & Hematology」に発表した。
 それによると、UKでは、2004-2014年に至る、ほぼ10年間で50歳以下の働き盛りの人に、「colon cancer (結腸ガン)」、「rectal cancer (直腸ガン)」が、それぞれ1.8%増/年、1.4%増/年の割合で増えていることが分かった。とくに、20代の若ものの間に大腸ガンの急増が目立つという

 さらに、オランダErasmus MC 大学のFunny Vuikらの研究グループがヨーロッパ諸国、UKなど主要20ヶ国の医療データ1億4,300万件の医療データを分析したところ、1990 -2016年に掛けて、調査したほとんどの国の20代の若ものに、大腸ガンの発症率が約3倍に急増していることも明らかにされている。(研究内容の詳細は医学雑誌「Gut」に発表。)
 
 大腸ガンには早期発見・早期治療が欠かせない。以下は、NHS UK (英国国民保健サービス)」が提唱する、大腸ガンの「red flag symptoms (危険信号)」の見極め方。

・persistent change in bowel habit - going more often, with looser stools and sometimes tummy pain
・blood in the stools without other symptoms, such as piles.
・abdominal pain, discomfort or bloating always brought on by eating - sometimes resulting in a reduction in the amount of food eaten and weight loss.

・このところ、お通じが変わった (排便数の増, ドロドロの便、ときに腹痛を伴う)
・便に血が混じる (とくに痔ではないのに)
・食後はいつも腹痛、不快感、お腹が張るなどの症状。このため、食事の量が減って、体重が減少することも。

 加えて、大腸ガンの「family history (家族歴)」すなわち大腸ガンに対する「genetic susceptibility (遺伝的感受性)」も見逃せない危険因子だ。
 
 危険信号が現われたら、ガンの進行ステージが上がらない内に、できるだけ早く、「信頼できる専門医」のチェックを受けることが望ましい。

謝辞:この一文をまとめるに当たって、以下の優れた「The Guardian」の記事も参照した。記して謝意を表したい。

The Guardian: May 16, 2019
・Bowel cancer rise among UK under-50s prompts screening call

                 (写真は添付のBBC Newsから引用)

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急増する心臓病で死亡しないために:その予防策とは! (BBC-Health, May 13, 2019)

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 「心臓が強い」とは「ずうずうしい」ことだ。「その図々しさにもほどがある」と言いたければ、「心臓に毛が生えている」となる。
 しかし、どんなに心臓が強くとも、また心臓に毛が生えていても、次のリスク・ファクター (risk factors)を抱えている人は要注意。

・high blood pressure:高血圧
・high cholesterole:高コレステロール
・obesity:肥満
・diabetes:糖尿病
・smoking:喫煙
・family history:遺伝的な家族歴

 UKでは高血圧の成人人口が1,400万人以上。その内、約500万人が自らの高血圧に気付かないで暮らしている。さらに、およそ1,500万人の成人すなわち4人に1人が肥満で、糖尿病患者もこの5年間で18%も増えた。
 これでは、「cardiovascular deceases (心循環器系疾患)」が多発し、不幸な早死を招いてしまう。

現に、2017年の医療統計によると、脳卒中や動脈疾患などを含む「circulatory diseases (循環器疾患)」による死亡者は42,384人に上った。これまで、ずうと横ばい状態で続いていた数値が、過去50年間で最悪の上昇に転じたのだ。

 病気の予防は、その病気の発症原因とおぼしきリスク・ファクターを1つでも減らすこと。これを幾つも抱え込んいては、病気にならない方が不思議だ。
 誰でもできることなのに、「病気になったら、なったで仕方がない」、あるいは「近くに病院がある」などと、自分の体・健康を「運まかせ」、「医者まかせ」にしている人が決して少なくない。

 この5年間、医者に掛からず、薬を飲んだことがない人など、ほとんど「endangered species (絶滅危惧種)」になった。

                 (写真は添付のBBC Newsから引用)

 

 

活性炭 歯みがき:歯が汚れて、傷つき、虫歯になる恐れ! (BBC-Health, May 10, 2019)

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 「anti-bacterial (抗菌性)」、「anti-fungal (抗真菌性)」があり、黄ばんだ歯を白くし、虫歯予防にも効果がある。これを毎日、毎日 TVコマーシャルで繰り返して流されると、誰でも買ってみようかと思ってしまう。なに、「活性炭歯磨き (charcoal toothpastes)」のことだ。

 でも、ちょっと待って。だまされてはいけない。その活性炭歯磨きの効能には、何の科学的根拠も存在しない (2017 US reviewで証明済み)。
 Manchester大学歯学部 Dr Joseph Greenwall-Cohenらの研究グループが、医学雑誌「The British Dental Journal」に発表した論文によると、歯を白くし、虫歯を防いでくれるどころか、研磨剤のような「活性炭歯磨き」は、歯を磨きすぎるとエナメル質を傷つける。そればかりか、活性炭の微粒子が歯肉 (gums)に入り込んで、炎症を起こす恐れもある。

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 さらに、悪いことに、コマーシャルに洗脳されて、その気にさせられ、歯を白くしようとせっせと磨いた消費者。なかなか歯が白くならないので、もっと、もっとと使い続けてしまう。それは、まさに歯磨きメーカーの思う壺 (つぼ)だ。
 一旦、この歯磨きにのめり込んだら、そこは泥沼。なかなか抜け出られないと言う。なんとも悪質ではないか。

 そもそも「charcoal (活性炭)」の粉末を歯磨きに取り入れたのは古代ギリシャ人。歯の汚れをとったり、歯周病の不快臭を隠すために使用したとされる。
 なお、現代人は次の2点に注意すること。

・Charcoal toothpastes don't whiten teeth. :活性炭歯磨きでは、歯が白くならない。
・Don't believe the hype. :誇大広告にだまされない。

 宣伝・広告には「marketing gimmick (マーケティング・トリック)」が少なくない。活性炭歯磨きが「歯を白くする」、あるいは「虫歯予防に効果がある」とするなら、その実証データが権威ある複数の学術雑誌で認められる必要がある。
 芸能人・セレブを採用したコマーシャル。それに、あの手この手で商品の効果をもっともらしく印象づけようとするメーカー。

 「効果が報告されています」、「某セレブも使っています」の口車に乗せられてはならない。面倒でも、根拠となる科学論文がどこにあるのか、と疑ってみることだ。


                 (写真は添付のBBC Newsから引用)

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カエルのうたが聞こえない!:カエルに絶滅の危機が..... (BBC-Science & Environment, May 10, 2019)

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 『やせ蛙まけるな一茶ここにあり』は、「鳥獣戯画」の一場面を心に抱かせる名句。そのカエル (frogs)が、今、苦戦している。

 カエルの先祖は 2億6,500年前の「Permian (ペルム紀)」に地球上に出現したとされ、現在、その仲間は世界で7,000種以上。しかし、カエルの種の40%は絶滅の危機に瀕している。「ZSL's Institute of Zoology(ロンドン動物学会動物研究所)」のDr Stephen Princeらが「Global Change of Biology」に発表した研究によると、その主な原因は次の3点。

・climate change:気候変動
habitat loss:生息地の喪失
・disease (Ranavirus):病気の蔓延 (ラナウィルス症)

 人類は産業革命以降、多くの森林を手当たり次第に伐採し、湿地帯を埋め立てては農地や住宅地として売却し、膨大な量のCO2を排出して温暖化を加速させた。その結果、あの愛嬌を満面にたたえたカエルの顔にも陰りが差してきた。異常な地球温暖化は、「fish virus( 魚類ウィルス)」を進化させて「Ranavirus (ラナウイルス)」をつくり出し、「mphibians(両生類)」に取り憑いたのだ。

 このウイルスは強烈で、「tadpoles (オタマジャクシ)」が感染すると、一夜にして池の中のオタマジャクシは全滅するという。
 このまま地球温暖化が進んでラナウイルスが蔓延すると、今後50年間でカエルは地球上から姿を消す恐れがある。
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 この「Ranavirus (ラナウイルス)」が Englandのカエルを襲っている。池のカエルを救うためには、次のようにして、その住処 (すみか)を涼しい環境にすること。

・木杭を池に巡らす
・池の周りに植物を植える
・木陰をつくる
・池の水深を深くする

 いつの日か、子ども達にとって「オタマジャクシ」は、見たことのない不思議なものになり、「やせ蛙の句」もGrimmの「カエルの王様 (Der Froschkönig)」も理解できないことになりかねない。
                 (写真は添付のBBC Newsから引用)

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北海の海底油田が枯渇:今後は、油の漏出・海洋汚染対策が必要! (BBC-News, May 2, 2019)

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 これは、ムーミン谷のスナフキンの呟(つぶやき)のようだ。

" Nothing lasts forever."
[ 永遠に続くものなんて、ありはしないよ。]

 1975年とは、ずいぶんと大昔のこと。その年の2月、UKでは、あの「snobbish, übermütig (高慢ちき)」な「Magaret Thatcher」が首相になった。「サッチャー」が国の経済を立て直したと評価する人もいる。しかし、私にはそうは思えない。運が良かっただけだ。なにしろ、その年、UKは北海の海底から原油 (petroleum)を生産し、一挙に石油輸出国の仲間入りを果たしたからだ
 現在も、北海には原油を生産する海上設備「プラットフォーム (platforms)」が建ち並び、油井 (ゆせい)の数は約11, 000本。

 ところが,海底油田の開発から44年が過ぎて、油田が枯渇し、封鎖に追い込まれる生産井も、徐々に数を増してきた。今後、10年間で2,379本の油i井が、その生産を停止すると予想されている。
 油田・ガス田の生産井は寿命が尽きると、地下の原油が地表あるいは海底に湧出、漏出 (ろうしゅつ)しないようにパイプの入口をコンクリートで固めてしまう。もちろん、海上のプラットフォームを直ぐに撤去するわけにはいかない。
Brent Delta 
 どんなに、コンクリートでパイプに蓋をしたところで、汲み残した原油が海洋を絶対に汚染しないという保証はない。まして、金属の腐食・劣化の激しい海面下では、パイプに亀裂が入ったり、破損することも大いにありうることで、このとき、海底に残存する原油が、長期にわたって漏れ出す危険性が生じる。

 そこで、Scotlandの Heriot-Watt大学 David Bucknall教授らの研究グループは、海底の油井に原油漏れが発生した場合、これを「domestic smoke alarm (家庭用煙探知機)」のように、警報を発してくれるシステムを開発した。

 そのシステムの概要はこうだ。
原油が枯渇した生産井をコンクリートで封鎖する前に、パイプ内に特殊な液体を封入する。原油がパイプから漏れ出すときは、まず、この特殊な液体「SWIFT」が海面に浮上する仕掛けだ。すると、検知器が働いて、自動的に「ブイ」が放出される。ブイは地球上を周回する人工衛星に信号を送り、地上の監視施設では、この信号をキャッチして、直ちに、原油が漏れ出したパイプを突き止め、その修理に、技術者を派遣する。

 なお、パイプに充填する特殊な液体の成分は、もちろん「trade secret( 企業秘密)」。ただし、原油によく似た液体で、環境を汚すこともなく、耐用年数は100年とだけ、発表されている。

 北海の海底油田は、UKの経済に大変な貢献を果たした。それに、海洋を汚しに汚しもした。もう、静かに眠らせても良い時期だ。海洋汚染対策の費用を渋ることなど、あってはならない。
                  (写真は添付のBBC Newsから引用)

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医者が病気の原因と治療薬を間違えては:治るものも治らない! (BBC-Health, April 30, 2019)

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 医者に「痛くもない腹を探られる」のは、かなわない。しかし、もっと悪質で我慢がならないのは、頭が痛いというのに、腹痛の薬を処方する医者だ。これは大袈裟な喩(たと)えと、関係者は苦言を述べるだろう。ところが、誰でも、大なり小なり、似たような経験はあるはず。実際のところ、少なくとも認知症の治療では、これとほとんど同じようなことが行なわれて来た。

 それはなぜか。認知症 (dementia)と一口で言っても、アルツハイマー型、ルビー小体型、パーキンソン病型、ハンチンソン病型などと種々のタイプがあり、それぞれの認知症の原因が違っていることが第1の理由。さらに問題をやっかいにしている理由は、病院の診察で、どのタイプの認知症かを識別するために欠かせない、単独の検査法が存在しないことだ。
 認知症の原因を正確に特定するためには、死後の脳解剖が必要なのだ。患者が亡くなった後で、病気の原因が分かったところで、患者には何の救いになるのだろう。

 認知症の中でも、およそ2/3を占めて、最も多いとされるタイプはアルツハイマー認知症。この神経疾患は脳神経細胞に「amyloid beta (アミロイドβ)」, tau(τ)」タンパク質が蓄積することと深く関わっていると考えられている。
 そこで、これまでの認知症治療の臨床試験では、その2種類のタンパク質を軽減する薬が処方されたが、ことごとく失敗して来た。

 こうして臨床試験に、あるいはアルツハイマー認知症の治療に、膨大な医療費・医薬品開発費が投入された。世界における認知症治療薬の需要は高く、その開発に成功すれば巨額の利益につながることは間違いない。けれども、余りの過酷な開発レースに、脱落を余儀なくされた製薬メーカーも出て来た。

 なぜ、アルツハイマー認知症に対して、まったく薬が効かないケースもあるのか。その答えを探して、Kentucky大学の Dr Pete Nelsonらの研究グループは、数千に上る認知症患者の脳の解剖データを精査、分析し、ついに、「謎の解明」に成功した。(研究結果の詳細は医学雑誌「Brain Reports」に発表。)

 なんと、アルツハイマー認知症と診断して、治療薬を投与して来た患者の、およそ1/3は、全く別のタイプの認知症「Limbic-predominant age-related TDP-43 encephalopathy (大脳辺縁系侵勢型老齢 TDP-43脳障害 Late)」だった。この認知症「Late」は、脳神経細胞にタンパク質「TDP-43」が蓄積することと深く関わっていると考えられている。

 その症状は、アルツハイマー認知症によく似ていて、「memory (記憶力)」,「thinking (思考力)」を失う。しかし、「Late」は、とくに80歳以上の後期高齢者に発症する傾向があり(発症率は、およそ5人に1人の割合)、記憶が喪失するスピードも緩やかだ。

 Dr Nelsonらの研究グループは、すでに精神科医に向けた「認知症 Lateの診断ガイドライン」を発表している。今後は、今回の研究結果を新たな認知症治療薬の開発に結びつけたい考えとか。

                 (写真は添付のBBC Newsから引用)

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肥満は「なぜ、どれだけ」体に悪いか:動かぬ証拠が発表される! (BBC-Health, April 29, 2019)

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 世界の肥満人口は、2018年で6億5千万人。これは過去30年前に比べると数値が約3倍に跳ね上がったことになる。UKでも、成人の、ほぼ4人に1人が肥満。
 なお、太りすぎの程度は、体格指数BMI (=[体重kg]/[身長m]の2乗)によって次のように分類される。

・less than 18.5: underweight (低体重)
・18.5 to 24.9: healthy weight (普通体重)
・25 to 29.9: overweight (過体重)
・30 t0 39.9: obese (肥満)
・40 and over: very obese or morbidly obese (重症肥満または病的肥満)

 さて、世界的なヘルスケア企業「Novo Nordisk (ノヴォ・ノルディスク)」の Dr Christiane Haaseらの研究グループは、2000年1月から2018年7月にかけて、英国保健省の「UK Clinical Practice Research Datalink」に登録されているUK在住の成人280万人強の病歴、BMI値、カルテなどを分析し、次のような結論を得た。

疾患の種類                                        BMI
                                                35-40    40-45

2型糖尿病 (発症リスク)                9倍       12倍 
・睡眠時無呼吸                               12倍       22倍
心不全                                          ―                       3倍
・高血圧                                          ―                       3倍
脂質異常症                                   ―                       3倍
・早死                                         ―                    1.5倍

 では、肥満あるいは太っていると、どのようなメカニズムで病気が発症するのか。
 残念ながら、現代医学では、この疑問に対して、十分納得できる説明を与えることができない。ただし、太り過ぎが病気につながるという事実は存在する。

 なお、Dr Haaseらの研究結果の詳細は、Glasgowで開催された「The European Congress on Obesity(欧州肥満会議)」にて発表された。

                 (写真は添付のBBC Newsから引用)

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