ワンくんの超診断能力:どんな探知器、名医も及ばない! (BBC-Health, March 28, 2019)
ワンくんの「超能力ESP (Extrasensory Perception)」には驚く。「sniff! (クンクン)」で何でも分かる。台所で作っている今晩の料理はもちろん、台所に立っている人、そして、その人の健康状態まで、一瞬にして、かぎ分けてしまうという。その辺の勉強嫌いの、不真面目な医者など、かなうものではない。
これまでの研究で、ワンくんが検知できる病気とは
・cancers:ガン
・Parkinson's:パーキンソン病
・malaria:マラリア
・diabetes:糖尿病
この4種の疾患に加えて、フランスのRennes (レンヌ)大学Dr Amelie Catalaらの研究グループは、さらに「epileptic seizures (てんかん発作)」をも検知することができたと、医学雑誌「Scientific Reports」に発表した。
てんかんの発作は、脳の神経細胞が過剰に興奮して起こる神経疾患。このとき、神経細胞間の情報伝達に欠かせない「電気信号 (electric signals)」に、乱れが発生する。その原因として、遺伝性、脳卒中、脳の酸素不足などが列挙される。けれども、発症原因および発症メカニズムのいずれも、十分に解明されているわけでない。
しかし、いずれにせよ、てんかん発作の際には「seizure-specific odour (発作特有の臭い)」が発生しているようだ。その臭いの成分は何か。おそらく「nuerohormons (神経ホルモン)」の1種と考えられる。ただし残念ながら、未だ、その化学物質は特定されていない。
車の運転中あるいは仕事中に,突然、発作が起こると極めて危険だ。すでに、訓練を受けた介護犬が、てんかん患者の見張り役として活躍している実績もあるという。
発作の前触れ・予兆を知ることができれば、、周りの人に救助を求めたり、発作の前に安全な場所に移動できて、失神・転倒などのリスクを回避できる。
人間は何でもできる、不可能なことはない、などとと驕(おご)らず、ここはその非力を認め、謙虚にワンくんの超能力に頼った方がよさそうだ。
(写真は添付のBBC Newsから引用)
タバコとお酒の違いは:毒マムシとトカゲの違い? (BBC-News, March 28, 2019)
中国の南の景勝地「桂林」を訪れたとき、国営の漢方薬研究所の直売店に入った。そこにはキノコ・薬草やら「得たいの知れないもの」まで、ところ狭しと並べられていた。どこで、だれが、どうやって捕まえたのか、カラカラに乾燥させたヘビ、トカゲ、ヤモリまで積み上げられていた。売店の片隅に立った大柄の中国人女性は、体に効くからと、しきりに購入を勧める。
トカゲ・ヤモリは焼いて食べるものなのか、砕いてお湯で飲み干すのか、うっかり聞き漏らしたが、どうせ「食べ過ぎに注意」の類いだろうと、その場を離れた。
さて、イギリスの「NHS (国民保険サービス)」は、アルコール摂取に関するガイドラインを発表し、その中で、ワインに限ると、小さなグラス (175ml)で週に 7杯までが、「moderate drinking (ほどほどのお酒のたしなみ)」とされる。
ただし、「There is no safe level of drinking when it come to health risk. (健康上のリスクが発生しない、安全なアルコール摂取量など存在しない。)」
そこで、Southampton大学 Dr Theresa Hydesらの研究グループは、ほどほどにワインを飲んだら、どの程度、ガンの発症リスクが上がるのか、「Cancer Research UK」のデータ等に基づいて、モデル解析を実施した。
タバコを全く吸わない男女それぞれ1,000人が、週当たりボトル 1本 (750ml) (小さなグラス 4杯分強)のワインを飲み干したとき、一生の間にガンはどれ位の確率で発症するのかを解析したのだ。その結果、モデル解析では、男性に10% (10人)、女性では14% (14人)に、ガンが発症すると出た。アルコール摂取が関与するガンとして、女性は乳ガン、男性は「gastrointestinal and liver cancers (消化管ガンや肝臓ガン)」だった。(研究結果の詳細は医学雑誌「BMC Public Health」に発表。)
つまり、ワイン1本分の、ガンの発症リスクは、男性でタバコ 5本分、女性では10本分に相当すると言うのだ。
ただし、解析に当たっては、今はタバコを吸わない人でも、以前は吸っていたのか、あるいは,年齢、遺伝子、食生活、生活スタイルなどのファクターが、考慮されなかった。
さらに、「The Institute of Cancer Research (英国ガン研究所)」のDr Minouk Shoemakerによると、ガン発症リスクの全体像は、極めて「complex and nuanced (複雑で微妙)」。これに対して、Dr Hydesらの結果は、あくまで、多くの仮定のもとで計算された値に過ぎない。
まとめ:『タバコ10本のリスクが、ボトル 1本分のワインのリスクに当たる。それならば、タバコ数本くらい吸っても、大丈夫だろう』、と考えるのは危険。タバコはガン以外の病気にも深く関わり、タバコを吸いながらお酒を飲むと、事態は最悪となる。タバコの毒は、アルコールとは全く別物。体にとって、タバコは、マムシかトリカブトの類いと見るべきだ。
(写真は添付のBBC Newsから引用)
「adult (おとな)」って何:法律上と医学上では大きな違い! (BBC-News, Mar 19, 2019)
もう、とっくに「大人 (おとな)」と呼ばれても良いはずなのに、50、60代の「mature adults (年長者)」になっても、「話し言葉」と「書き言葉」の区別がつかず、独りよがりで、赤ん坊のように我が儘、それに、品性にも欠けている「おとな」は少なくない。
「おとな」の語は古来、心身が一人前になって分別が備わり、少なくとも年少者から尊敬される人間を指した。
なお、「adult」の語源はラテン語「adultus (grown-upの意)」であり、CODは「A person who is fully and developed ([心身ともに])十分に成熟した人」と定義する。
さて、UKの法律では、誰もが18歳になると、「成人」と見なされ、投票権が与えられ、自由意思で結婚できるようになる。もちろん、罪を犯すと、「adult」として裁かれ、処罰を受ける。
ところが、Cambridge大学の Peter Jones教授によると、過去30年間で、若ものの「微妙な変遷期 (nuanced transition)」が長くなったという。
蝶にたとえるなら、「caterpillars (イモムシ)」から「butterflies (チョウ)」になる寸前の、「サナギ (pupae)」の期間が存在し、これは「childhood (子どもの世代)」でもないし、「adulthood (おとなの世代)」にも当たらないのだ。
実際、Jones教授らの研究グループが18歳の若ものの「brain and nervous system (脳およびその神経組織)」を調べた結果、脳 (心)の成熟度には個人差が認められたが、いずれも「成長の過程」にあることが分かったという。
したがって、この「サナギ」の時期の若ものは、精神的に不安定。些細なことで,「精神疾患 (mental health disorders)」を発症しかねない。
成人式をとっくの大昔に終えた「聖人君子」が「マジ!」を連発していては、心と体の成熟度が益々かけ離れて行くばかり。生殖器官が成熟しても、脳神経組織が「fully adult(おとなにふさわしい成熟度)」に達していないのだ。これでは自立と自律の精神が固まらない。
(写真は添付のBBC Newsから引用)
「乳ガン」も色々11種:そこいらの、十把一絡げの田舎治療は古い! (BBC-Health, Mar 14, 2019)
論語に「牛刀を以って鶏(にわとり)を割く」とある。大したことのないのに、大げさに牛刀を持ち出す人に対する戒めだ。
これまで、乳ガン (breast cancer)と診断されると、抗ガン剤「Herceptin (ハーセプチン)」に頼ったり、性ホルモン「oestrogen (エストロゲン)」に対する応答性に着目した治療が精々だった。恐らくは、地方病院の治療のほとんどが、「十把一絡(から)げ」の治療と言っても言い過ぎではないかも知れない。
しかし、乳ガンは発症原因の違いによって11種に分類され、さらに、ガン腫瘍細胞の「分子配列構造 (molecular wiring)」の違いによってサブ・グループに分けられることが分かってきた。乳ガンの治療には、その特徴の見極めが不可欠なことは言うまでもない。
「The Cancer Research UK Cambridge Institute」は、ヨーロッパにおけるガン最先端研究の拠点の一つ。この研究所のCarlos Caldas教授らの研究グループは、約2,000人の乳ガン患者の腫瘍細胞の「genetic mutations (遺伝子変異)」を分子レベルで解析し、これと平行して、患者の乳ガンの進行状況を20年間にわたって追跡調査した。
その結果、乳ガンの中でも、とりわけ再発性が高く、難治性腫瘍とされる「triple negative breast cancers (トリプル・ネガティブ乳ガン)」は、さらに2つのサブ・タイプに分類され、そのうち1つは、5年間 再発 (recurrence)がなければ、完治が期待される一方で、他の1つは、治療が長引く可能性があることも分かった。
また、乳ガンの中でも性ホルモン「エストロゲン」が関与した乳ガン(4サブ・グループ) は、再発のリスクが「markedly increased (極めて高い)」ことも明らかになった。したがって、このタイプの乳ガン患者には、ホルモン剤「Tamoxifen (タモキシフェン)」による長期治療が有効と判断されると言う。
このように、乳ガンを分類し、その特徴を明確にすることによって、標的を確実に狙った「personalised medicine (個別化治療)」、「tailoring treatment (テイラーメイド治療)」が可能になる。
Cancer Research UKによると、UKでは、新たに乳ガンと診断される患者は、年間12,300人に上る。Caldas教授らが実施したガン腫瘍細胞の分子レベルの解析を、そのまま臨床医がすぐに採用する訳にはいかない。複雑な解析法をさらに進化、簡素化させない限り、臨床に採用することは無理。しかし、乳ガンは、ガン腫瘍細胞を「分子レベル」に立ち入って診断、治療する時代に入ったことは確かだ。
乳ガンの自称専門医は、いつまでも、大昔の治療にこだわっていてはいけない、患者が苦しんでいることを忘れてはいけない。もっと、もっと医療レベルを上げることが求められている。
(写真は添付のBBC Newsから引用)
「幸福」が「不幸」に追い出された地上:解決できるか海洋汚染 (BBC-News, Mar 14, 2019)
「Aesop's fables (イソップ寓話)」によると、地上の「幸福」は、「不幸」に追い出されて天国に行ってしまったという。そして、自分自信を不幸だと思い込むヒト属 (Homo)が、多数派を占めるようになった。
やけのやん八。処構わず落書きをし、公共物を壊し、その上、いとも簡単に犯罪に手を染める。タバコの吸い殻、飲み干したペットボトルなど、車の窓からポイ捨て知らん振り。世の中、全てが気にくわない。もう、居場所もお金も、地位も何もなく、どうせ捨てるものとてない体、と自暴自棄。
残念ながら、このような悪人が、やたら増えては、多勢に無勢。いくらゴミ拾いに時間とお金を掛けても、まさに「焼け石に水」。
そのプラスチック・ゴミが道路端から山林、海岸一帯に撒き散らされ、とうとう魚・クジラまでプラスチックに汚染されるようになった。ここまで来たら、プラスチックの製造・使用を中止するしか手立てがない。
2018年10月29日、インドネシアのバリ島で開催された「Our Ocean Conference 2018」で、「The Ellen MacArthur Foundation (エレン・マッカーサー財団)」主導の「The New Plastics Economy Global Commitment (新プラスチック経済グローバル約定)」が発足し、世界の企業150社が、その約定(やくじょう)に署名した。
ようやく、海洋プラスチック汚染の問題を真摯に取り組む機運が、世界に高まってきた。
このような状況にあって、Burberry社は、自社ブランドのレベル低下を恐れて、売れ残りの衣服、アクセサリ、香水類など総額£28.6 (約42億円)相当の商品を廃棄処分すると発表し、世論の批判を浴びた。(現在、処分は一時停止。)
さらにCoca-Cola社は、自社商品のプラスチック総量を公表し、販売する全ての製品のボトル容器・アルミ缶を2030年までに回収、リサイクルすると発表した。
以下は、Coca-Cola社はじめ、各社商品のプラスチック容器総量
・Coca-Cola:3,000,000トン/年
・Nestle:1,700,000トン/年
・Colgate:287,008トン/年
・Unilever:610,000万トン/年
・Burberry:200トン/年
一方、自社のプラスチック流通量の公開を拒んだ企業は、次の大手3社。
なお、Coca-Cola社の年間プラスチック容器の総量300万トンは「blue whale (シロナガスクジラ)」15,00頭分、ペットボトルにして1,080億本に上るという。
(写真は添付のBBC Newsから引用)
コレステロール治療:スタチンの副作用に苦しむ人に朗報! (BBC-Health, Mar 14, 2019)
人間に取り憑く病気の原因の、東の横綱が「高血圧」だとすれば、西の横綱は悪玉コレステロールLDL (Low-Density Lypoprotein)だ。LDL値が高すぎると、血管 (blood vessels)内壁にスケールが積み重なって血流を詰まらせてしまう。その結果、心臓・脳に酸素が十分に行き届かなくなり,「heart attacks (心臓発作)」や「strokes (脳卒中)」の発症リスクが高まる。
血液中のLDL値が上がる主な要因は次のとおり。
・飽和脂肪酸(肉の脂身、バター、チョコレート・ケーキに多い)
・不健全な食生活
・運動不足
・遺伝子
これまで、高めの悪玉コレステロールの治療には、主に「statin (スタチン)」が処方されて来た。しかし、この治療薬は筋肉にも働くため、次のような副作用がある。
・筋肉の痛み
・脱力感
・手足のしびれ
・脱毛
患者によっては、副作用が強すぎて、スタチンを使用できないこともあった。
そこで、「Imperial College London」の Kausik Ray教授らの研究グループは、被験者2,200人以上の協力を得て、新薬「Bempedoic acid (ベンペド酸)」の臨床実験を実施し、この新薬を1年間、毎日服用すると、患者の LDL値が17%も下がることを確認した。(研究結果の詳細は、医学雑誌「The New England Journal of Medicine」に発表。)
新薬の副作用の発生率は、「statin」と同程度。ただし、「gout (痛風)」の出現率が高い傾向にあった。
「Bempedoic acid (ベンペド酸)」は、酵素「ATP-citrate lyase」の働きを阻害し、体に悪玉コレステロール LDLをつくらせないように作用する。
LDL値が高いが、治療「statin」の薬副作用が強くて、これを使用できない人にとっては、待ちに待った治療薬。関係者は一刻でも早く、新薬の販売認可が下りることを期待している。
謝辞:この一文をまとめるに当たって、以下の優れた「News: Imperial College London」も参照した。記して謝意を表したい。
News: Imperical College London, March 13, 2019
・New cholesterol-lowering drug could help patients unable to take statins
(写真は添付のBBC Newsから引用)
キノコ料理:「もの忘れ」に効果あり! (BBC-Health, Mar 14, 2019)
キノコ (mushrooms)には、抗炎症作用もある、抗酸化物質「ergothioreine (エルゴチオネイン)」が含まれていて、その他にも、ビタミンD,「selenium(セレン)」、「spermidine (スペルミジン)」など、体に大切な栄養素が含まれている。どうやら、これらの成分が人間の脳機能の老化を防ぐように働いているようだ。
これは、Singapore国立大学のLei Feng教授らの研究グループが、医学雑誌「Alzheimer's Disease」に発表した研究論文の結論。
Feng教授らは、中国人の被験者(60歳以上) 663人を対象にした、およそ6年間に及ぶ食生活・生活スタイルの追跡調査を実施し、被験者の食べるキノコ料理と「もの忘れ」すなわち「Mild Cognitive Impairment (軽度認知機能障害MCI)」との関係を調べた。
すると、キノコ料理を1週間当たり2皿以上 (キノコ300g以上)食べる人は、キノコをほとんど食べない人に比べて、「知能検査 (brain tests)」の成績も良く、「処理速度(processing speed)」も早いことが分かったという。
「もの忘れ」がひどくなると、軽度認知機能障害MCIと診断されるが、その症状は「dementia (認知症)」ほど深刻なものではなく、言葉や記憶が一時的に思い出せなくなったり、注意力、空間認知機能などに、「わずかな(subtle)」支障を来たす程度。
Feng教授らの研究によると、キノコを食べ続けている人は、このMCIの発症リスクが低いというのだ。
ただし、この研究だけで、キノコが脳機能に直接関与していると判断するのは無理だ、との批判の声もある。
また、この研究の調査は、あくまで、被験者の生活スタイルに関する自己申告データ (self-reported information)に基づいて実施されたものであり、データの正確さには問題がある。
「Alzheimer's Society (英国アルツハイマー病学会)」のDr James Pickettによると、『認知症の発症には多くの要因が関与しているが、認知症の1/3は、おそらく、食生活を改善することによって防止できるはず』という。
Dr Pickettが勧める認知症の予防策は、次の 5項目。
・フルーツ、野菜 (キノコを含む)などをたくさん食べる
・砂糖・塩分は控えめに
・体を動かす(息がはずむ程度の運動を)
・アルコールは、ほどほどに
・タバコをやめる
(写真は添付のBBC Newsから引用)