ヒロシのWorld NEWS

世界のニュースを日本語でお届け!

外科手術ができない外科医:でも、スマホいじりは得意! (BBC-News, October 30, 2018)

https://ichef.bbci.co.uk/news/695/cpsprodpb/1D85/production/_104075570_surgery1.jpg

 『創造力を養う教育が大切』と、政府は力説したが、口先だけだった。実際には、高校教育で、生徒が有名大学に入学できるようにと、数学や物理・化学などの主要科目に力を入れた。このため、GCSE試験でも芸術などの創造的な科目は不人気。(いや、なに、これは、イギリスの話しだ。)

 この結果、どのようなことが起こったか。
 学校の成績がよくて、医学部に入学できても、学業以外の「tactile general knowledge (体で覚える生きるための知恵)」は、からっきしだめ。外科医を専攻した学生でも、針と糸をうまく使いこなせない。家庭や学校で裁縫、機械の修理、工作などの経験がまったく欠けているため、手作業・もの作りをはじめ、とにかく手を動かす仕事が苦手なのだ。得意なのは、スマホの画面上で「指を滑らせること (swiping)」。
 しかし、外科医にとって専門的な医学知識も必要だが、針と糸を操る「craftsmanship (職人技)」も要求されると、London大学「Imperial College」の Roger Kneebone教授は指摘する。

 このままの状態で、医学部を卒業した医者に、的確な手術を期待するのは無理。
 「The Victoria and Albet Museam」館長の Mr Tristiam Huntも、Kneebone教授の意見と同様に、若ものの教育には、もっと

・imagination:想像力
・resourcefulness:機知力
・resilience:復活力
・problem-solving:問題解決力
・team-working:チーム・ワーキング力
・technical skill:技術力

を養う教育に力を入れた、「round education (バラスの取れたカリキュラム)」の再構築が必要であると訴える。

 さて、問題は日本の教育の方が深刻だ。
 この50年以上にわたって、大学改革、教育改革、入試改革が声高に叫ばれた。しかし、あまりに幾度も「改革 (inovation)」の文字が使われたためか、その 2文字は色あせ、改革は形式的になり、形骸化した。
 受験生の勉学の負担を軽減化するためとの名目で始まった入試改革は、結局、入学の是非がほとんど推薦・面接だけで決まるという「究極の形」で、終止符が打たれた。

 一方で、高校の教育・入試対策は2極化した。入試で学業成績以外の特技も考慮されるとなると、実業高校は、授業時間をつぶし、法令・マナーを無視してまで、野球などの練習にこだわるようになり、一方、進学校では、主要受験科目中心のカリキュラム編成にこだわった。そして、大学に提供する内申書には、事実と異なる生徒の学習歴・内容を記載し、これを恥じない風習が生まれた。

 「教育」は揺れている。実業高校であれ、進学校であれ、その授業科目内容は「round education (バラスの取れたカリキュラム)」から大きく外れ、偏った人材育成が進んでいるような気がしてならない。

 UK、日本のいずれの大学も, 入学志願者に学習能力以外の「創造力」、「問題解決力」などを期待するならば、高校側に対して、そのような力を養うためにはどのような教育をすればいいのか、また、これを大学がどのようにして評価しようとしているのかを明らかにする必要があるだろう。

 少なくとも、教育という「神聖な場」で「不正」や「ごまかし」があってはならない。そんなことでは、健全な精神の、正義感の強い若ものが育たない。

                   (写真は添付のBBC Newsから引用)

  面白かったら、投票クリックお願いします!

www.bbc.com