若ものは、お酒を飲んで「Blackout」:精神錯乱に記憶喪失、肝疾患! (BBC-News, October 1, 2018)
北国は冬になると、真白く長い髪を振り乱した「雪女 (Yuki-Onna)」が現われる。それは、息もできないほどの吹雪(ふぶき)を起こし、辺りは空も陸地も見分けがつかない白一色の世界に閉ざされる。現代人はこれを「Whiteouts (ホワイト・アウト)」と呼ぶ。
これに対して「blackouts (ブラック・アウト)」と言えば、お酒を飲み過ぎて、記憶を全く失ってしまう「amnesia (記憶喪失)」のこと。
ただし、この「blackouts」は、お酒を飲んで眠ってしまい、何も覚えていない「passing out」とは、まったく別ものだという。
さて、米連邦最高裁判事「Mr Brett Kavanaough (ブレット・カバノー)」は、36年前、女性に性暴力を働いたと告発されたが、本人は記憶にないと突っぱねた。それでは、当時「blackout」に陥ったのか、と追求されたが、それもきっぱりと否定。結局、Trump (トランプ)のカードの裏に隠れて逃げ切った。
そもそも、blackoutは脳の記憶を司 (つかさど)る「海馬 (hippocampus)」がアルコールによって機能が停止してしまう現象。これには「fragmentary blackout」と「complete blackout」の 2種がある。
・fragmentary blackouts:断片的記憶喪失
細かいことは覚えていないが、断片的に記憶が残っている状態。もっとも普通に見られるblackoutだ。少しばかりお酒を飲んだことまでは覚えているが、誰が、どのようにお勘定を払ったのかについては覚えていない。
専門家によると、思い出そうと努力すると、消えていた記憶がよみがえることが多いという。
・complete blackouts:完全記憶喪失
何時間も、全くの記憶喪失に陥る状態。一般的には何の情報も脳に記憶されていないため、何があったのかをほとんど思い出すことができない。
このところ、とくに若ものの間に増えているのが、「fragmentary blackouts (断片的記憶喪失)」。Brown大学のKate Carey教授の調査によると、約30 - 50%の若ものが、この記憶喪失を経験したことがあると回答している。
空きっ腹に一気のみすると、「blood alcohol concentration (血中アルコール濃度値BAC)」が急激に上がる。とくに痩せている人や女性は、体の水分量が少ないため、アルコールが早く体中にまわってしまう。加えて遺伝的にアルコールに弱い人もいる。
また、お酒を飲むときに、タバコを吸ったり麻薬 (recreational drugs)を吸うと、blackoutsを起こしやすくなる。
その「blackout」が起こりかねない危険な兆候は、
・わけのわからない事を口走る「distraction (精神錯乱)」
・まともな会話ができない「the inability to continue a conversation」
「The American Addiction Centers (アメリカ中毒センター)」によると、お酒の飲み過ぎでこのような状態になると、まともな意思決定(decision-making)ができなくなり、「しらふ (sober)」では絶対しない
・intoxicated driving:酒酔い運転
・getting into a fight:喧嘩
・sexual assaults:性暴力
のようなことまでやってしまう。
もちろん、記憶喪失もさることながら、お酒の飲み過ぎは「alcohol use disorder or drinking disorder (アルコール使用障害)」を招き、ひいては長期にわたる「liver problems (肝機能障害)」を誘発する恐れがある。
(写真は添付のBBC Newsから引用)