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咳(セキ)の治療に抗生物質だって?:まだ、そんな医者が世に溢れていた! (BBC-Health, August 23, 2018)

https://ichef.bbci.co.uk/news/834/cpsprodpb/49EA/production/_103122981_honey.jpg

 余り知られていないが、16世紀になって使われ始めた英単語に「bonze」がある。声に出して呼んでみると分かる。これは「坊主」のことだ。16世紀と言えば、日本では織田信長安土桃山時代。その頃、日本に足を踏み入れたポルガル人が、その言葉を本国に持ち帰って、やがてイギリスにも伝わったと考えられる。

 坊主は、四季折々の寺社を中心とした儀式に欠かせないため、大きな権力を握っていた。ときに、その漢籍の豊富な知識を活かして、庶民の病の「見立て」もした。
 もちろん、庶民は、病や怪我の手当に、町医に掛かることもあった。

 昔の町医・坊主の医療のレベルは色々で、いわゆる「やぶ医」も少なくなかったという。その町医も、今は国家試験を経て医者になる時代だ。
 とは言え、「医に携わるものの徳」は、かっての町医に比べて、格段の進歩を遂げたのだろうか。医者の権限だけを振りかざして、庶民に「泣き寝入り」を強いてはいないだろうか。

 この疑問を抱かせる事実がまた明らかになった。
ことの次第はこうだ。咳が出て、医者に掛かることがある。しかし、

"Most coughs are caused by viruses, which cannot be treated by antibiotics and will clear up on their own."
"Most of time a cough will improve on its own within two or three weeks"
[ ほとんどの咳の症状はウィルスが原因だ。ウィルスは抗生物質で治療できない。ひとりでに治るものだ。]
[ その多くは、2、3週間も経てば、自然に治る症状。]

 そんなことは、医療の基本の「基」。まともな医者でなくとも、まともな人だったら誰にでも分かる。
 ところが、UKの調査によると、UKの「GP (一般開業医)」の約半数 (48%)が、咳や気管支炎 (bronchitis)治療にと称して、抗生物質 (antibiotics)を処方していた。
 
 医者が余りにも安易に抗生物質を多量かつ頻繁に使い続けたために、「抗生物質耐性菌」のスーパーバグまで出現した。これによって、病棟では薬の効かない感染症が広がり、ガンや臓器移植の手術でも、細菌感染のリスクが極端に高まった。
 それでも、医者は、必要でもないのに、まだ抗生物質を使い続ける。いったい、なぜ。『治療費を稼ぎ出すため』と、勘ぐられても仕方がない状況だ。

 ついに「The National Institute for Health and Care Excellence (英国国立医療技術評価機構NICE)」と「Public Health England (イングランド公衆衛生サービス)」は、一般開業医 GPに向けて、「治療ガイドライン」を作成した。
 咳の症状には、次の 3段階に分けた治療を勧める。

1.First step
"A hot drink of honey - and often with lemon and ginger as well - as a well-known home remedy for coughs and sore throat"
"Honey is not recommended for children under the age of one because it occationary contains bacteria that can cause infant botulism."

[ 咳や咽の痛みにはハチミツ湯。これにレモンとジンジャーを入れると申し分なし。家庭でもできる治療だ。]
[ ただし、ハチミツは1歳未満の赤ちゃんには与えないこと。まれにハチミツの中でバクテリアが発見されることもあり、これが幼児ボツリヌス症を引き起こしかねないからだ。]

2.Second step
 以下の 咳の症状を和らげる「市販薬 (over-the-counter medicines)」も、お薦め。

・pelargonium (ペラルゴニウム)成分の咳止め
・guaifenesin (グアイフェネシン));商品名フストジル
・dextromethorphan (ジキストロメトルファン):商品名メジコン

3.Third step
 病院に駆けつける前に、Step 1, Step 2の「self-care (自己治療)」をやってみること。ただし、
" If the cough is getting worse rather than better, or the person feels very unwell or breathless, then they would need to contact their GP."
"Antibiotics may be necessary for a cough when it is a part of a more serious underlying illness, or when a person is a at risk of further complications, such as those with chronic health conditions or weakened immune systems."

[ 咳の症状が良くならずに、だんだんひどくなったり、体の具合が悪くなったり、息苦しくなったりしたときには、掛かり付けの病院で診察を受けること。]
[ 咳が、深刻な(呼吸器系)疾患の1症状として現われているとき、あるいは慢性的な健康障害を抱えたり、免疫システムが弱っているなど、合併症の発症リスクがある患者には、抗生物質の投与が必要になる可能性もある。]

                                                         (写真は添付のBBC Newsから引用) 

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