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糖尿病を1型、2型で分類するのは無理:実は5種類もあった! (BBC-Health, March 2, 2018)

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 糖尿病 (diabetes)は、よく耳にする病気。ガン cancers) に比べて症状も軽く、当座の命の心配はないなどと高を括っていると、とんでもないことになりかねない。この病気に罹ると、心臓発作、脳卒中、失明、腎不全などの発症リスクが高くなり、最悪、手足の切断に至ることもある。

 なんと、世界の成人人口の 11人に 1人が、この病気に悩まされている。

 糖尿病は、これまで 1型 (type 1)と 2型 (type 2) に分類されてきた。いずれも、血液中の血糖値が制御不能になる病気 (uncontrolled blood sugar levels) だ。

1型糖尿病
 血液の血糖値は、膵臓の β細胞 (beta-cells) が分泌するインシュリンでコントロールされている。ところが、1型糖尿病では、免疫システムが誤ってβ細胞を攻撃するため、インシュリン不足となり、血糖値のコントロールを失ってしまう。イギリスでは全人口の約 10% (660万人) が、この病気に罹患していると推定されている。

2型糖尿病
 肥満や運動不足など「不摂生な生活スタイル (poor lifestyles)」が切っ掛けで発症することが多い。体脂肪 (body fat) がインシュリンの働きを阻害するため、血糖値がコントロールできなくなるとされる。

 しかし、このように、糖尿病を1型、2型だけで分類、治療する方法については、かねてから、専門家の間で疑問視されて来た。

 Swedenの Lund大学「Diabetes Centre (糖尿病センター)」の Leif Groop教授らの研究グループは、Finlandの「The Institute for Molecular Medicine (分子医学研究所)」と共同で糖尿病患者 14,775人の血液を分析した結果、糖尿病は次の5つの「cluster (群)」に分類されることを明らかにした。

・Cluster 1:severe autoimmune diabetes (重症自己免疫疾患型 糖尿病)
 この clusterはほとんど1型糖尿病に一致する。若いときに発症し、一見、健康そうに見えても、自己免疫疾患のため、インシュリンをつくることができない。

・Cluster 2:sever insulin-deficient diabetes (重症インシュリン欠乏型 糖尿病)
 発症初期は1型糖尿病によく似た症状を示す。若い人で体重も正常な人に発症。体は何とかインシュリンをつくり出そうと必死になるが、血糖値をコントロールするには不十分。別に、免疫システムに異常があるわけではない。

・Cluster 3:sever insulin-resistant diabetes (重症インシュリン抵抗型 糖尿病)
 一般に、太り過ぎの患者に認められ、インシュリンは正常に分泌されるが、体がこれに十分に反応せず、血糖値はコントロール不能に陥る。

・Cluster 4:mild obesity-related diabetes (軽症肥満関連型 糖尿病)
 主に「重度の肥満 (very overweight)」の患者に認められる。新陳代謝は、Cluster 3の患者に比べて普通の人に近い。

・Cluster 5:mild age-related diabetes (軽症加齢関連型 糖尿病)
 高齢になって発症するタイプで、その症状は比較的軽い。

 これまで、Cluster 2 の患者は、自己免疫疾患が原因ではないため、2型糖尿病として診断され、治療を受けてきた。しかし、このタイプの糖尿病は、体脂肪の影響よりもβ細胞の欠如によって引き起こされていると考えられる。
 このCluster 2 の患者は失明のリスクが高く、Cluster 3 の患者は腎不全 (kidney diseases) の発症リスクが極端に高い。

 Dr Gloopらの研究成果は、患者の症状を正確に捉えた「personalaised treatment (オーダーメイド医療)」に欠かせないとされ、「合併症 (diabetes-related complication)」のリスクも大幅に軽減するのでは、と期待されている。

 なお、研究の詳細は医学雑誌「The Lancet Diabetes and Endocrinology」に発表された。

                (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com