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海の荒くれの波:そのエネルギーは人類が使い切れないほど (BBC-Science & Environment, December 24, 2016)

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 ドドドッドー。ドドドッドー。これでもか、これでもかと浜辺に打ちつける大波。冬の青黒い海は、飛沫(しぶき)をあげて相当に怒っている。小舟などひっくり返さんばかりの勢いだ。
 なんとか、あのエネルギーを使えないものか。イギリスで、その研究が進められている。

"It has been estimated that there's more than twice as much were energy out there than is required to power the whole world."
[ 海の波のエネルギーは、世界が必要とするエネルギーの 2倍以上と推定されている。]

 しかし、波は気まぐれの風によって誘発される暴れもの。それにエネルギー密度が小さい。広い海洋からどのようにして無数の波のエネルギーを集約し、陸上まで搬送するかを解決できない限り、商業ベースの大規模な波力発電の開発は難しい。

 それでも、ある試算によると、イギリスの全電力量の 15 - 20%を波力エネルギーで賄うことが可能とされる。イギリスでは数十年前から、Plymouth (プリマス) 大学のDeborah Greaves教授らを中心に、実用化に向けた波力エネルギーの研究開発が精力的に進められている。波力エネルギーの発電技術は、風力発電に比べて少なくとも 10年は遅れているという。
 試作機に興味のある方は、海に浮かぶ The Limpet, The Frog, Mighty Whale, Wave Roller, Wave Dragon, The Oyster, The Penguin などを Internet でチェックすることができる。
 
 一方、不安定な波力エネルギーとは違って、潮の干満の差を利用する朝夕発電 (tidal power generation) は、常に安定した無尽蔵のエネルギーが得られるため、極めて有望だ。フランスの Rance (ランス) で 1966年から、韓国の京畿道 (Gyeonggi) で 2011年から、それぞれ定格出力 (installed capacity) 24万kw、25万kwの潮汐発電所が稼働している。
 しかし、この潮汐発電は、その建設が、潮の干満の差の大きい入り江などの地形に限られること、また発電所の建設費が膨大になり、おまけに河口周辺の生態環境に及ぼす影響も大きいことなどの理由から、どの国でもすぐに開発できる「海洋再生可能エネルギー(marine renewable energy)」とはなり得ない。

 ここは人類の知恵の見せどころ。エネルギー問題は、無責任な一部の商人と、近視眼的で選挙・政治資金を優先する政治屋の口上に振り回されてきたが、決してだまされてはいけない。
                 (写真は添付のBBC Newsから引用。)

www.bbc.com