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月は2度焼かれて生まれた:「二段階形成モデル」 (BBC-Science & Environment, November 9, 2015)

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  あの「かぐや姫」が戻って行ったとされる「月」は、どのようにして形成されたのだろうか。アメリカ、コロラド州「The Southeast Research Institute」のDr Robin Canupらの研究グループが、新たな月の形成理論「二段階形成モデル (Twice-baked model)」を科学雑誌「Nature Geoscience」に発表した。

 現在、月の成因説として、最も有力な説は衝突起源説だ。すなわち、

"In general, the Earth and Moon are remarkably alike in their mineral make-up. This has led scientists to propose that the smash-up that eventually spawned the Moon was caused by a Mars-sized interloper made of surprisingly similar stuff to Earth."

[ 約46億年前の地球が誕生して間もない頃、火星とほぼ同程度の天体が地球に激突する。これによって地球のマントルも、衝突した天体の破片も宇宙に飛び散った。それらの破片は、地球の周りを回っていたが、やがて、一つの集合体に固まって月が形成されたとする。
 このため、地球と月の岩石の組成は、極めてよく似るはず、とされてきた。]

http://ichef-1.bbci.co.uk/news/768/cpsprodpb/10ACB/production/_86599286_earth-moon_system_formation.jpg

 しかし、アポロ計画で、地球に持ち帰った月の岩石サンプルを詳細に分析すると、奇妙な結果が現われた。月の岩石には、明らかに地球のものとは違う点があった。「揮発元素 (volatile elements)」がほとんど含まれていないのだ。ここで、「volatile(揮発性)」とは、太陽系創世期の高温状態で「volatile」であったと考えられる「亜鉛 (zinc)」、「カリウム (potassium)」、「ナトリウム (sodium)」などの金属元素を指す。

 この岩石組成の違いを「二段階形成モデル」は次のように説明する。
 地球が天体の激突を受けたとき、宇宙に飛び散った高温のマントルや岩石片は、再び生まれ変わった地球の周りを、土星の輪のように回り出した。やがて数ヶ月から数年たつと、軌道の外側を周回して、温度の下がった岩石片が一つにまとまり、最初の、すなわち第一段階の月を形成する。その月の質量は、現在の月の半分程度。

 その後、回転輪の内側を回る、高温の岩体が、最初にできた月の表面に張り付くように、合体を繰り返し、大きさを増して行って、現在の月が形成されたとする。

 この形成論によると、確かに、月の表層部の岩石に、なぜ「揮発元素」が少ないのか、説明がつく。高温の岩体には、それらの金属元素が存在し得ないのだ。

 それでも、問題は残る。地球上のZn(亜鉛)と月の岩石に微量ながら含まれていたZnを比べると、その「同位体 (isotope)」が違うというのだ。 

                   (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com