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のっぽ対ちび:どちらがお得? (BBC-Future, September 29, 2015)

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  そんなことで、悩んではいませんか。

 [ 背の高さは、自分ではどうしようもない生物学的な一身上の事実。それはそうとしても、気がつかないところで、その背の高さが自分の運命を決めているとしたら。]
"Your height is a simple biological fact that you can do little change, yet it may be influencing your destiny in ways you didn't realize."

 こんな書き出しで始まる、この記事の執筆者はMr David Rovson。文筆力は、抜きん出ている。世の中には、「背の高い人 (taller people)」と「背の低い人 (shorter people)」がいるが、双方にとってどんな利点、不利益があるのか。それを分析したBBC-Futureの結果を、幾つかの観点からわかりやすく説明している。

1.お金と権力(Money and power)

 第16代アメリカ合衆国大統領の「エイブラハム・リンカーン (Abraham Lincoln)」は193cmと背が高かった。最近の「統計的な調査 (correlation analysis)」によると、選挙では、背の高い候補者が実質的に多くの得票数を得ている。

 どうやら、性別を問わず背が高い人は、「有力 (dominant)」かつ「健康 (healthy)」で、「知的 (intelligent)」であると思われてしまうようだ。これが幸いし、他者との競争に勝ち残って、結局、高い収入を上げる確率が高くなっている。
 ただし、もちろん例外もある。Winston Churchill、Martin Luther Kingの両氏は背が低かった。

 しかし、人間には、「第一印象 (first impression)」で他人を判断する傾向がある。この点からすると、「偉大さ (greatness)」、「支配力 (dominance)」を感じさせる「背の高い人」は優位だ (have the edge)。

2.魅力(Sexual attraction)

 古代の遺跡に立つ王の石像は、例外なく巨大だ。背が高く、威風堂々と立つ姿は石像であれ、生身の人間であれ、誰の目にも魅力的 (allure)に映る。
 また、人間は、顔だけを見て、その人の身長を推測することができるという。したがって、ネットの「デートゲーム (dating websites)」で、相手に「顔写真 (mugshot)」を見せてしまうと、身長のごまかしはできない。

 いずれにしても、背が高い人は、異性には、どうしても魅力的となる。ただし、その分、相手の期待が外れたら、強力な「はね返り」を受けることになる。異性は、もちろん「背の高さ」だけで、相手を判断するわけがない。他の「素質 (endowments)」もきちんと見ている。

3.スポーツと運動競技(Sport and athletics)

 バスケット (basketball ) や陸上競技 (race tracks) では、「足の長い (long legs)」選手が断然有利。また、背が高いと、アメリカン・フットボール (American Football) で、相手選手の頭越しに視界が広がり、ボールのパスも楽になる。
 
 しかし、体操 (gymnastics)、スノーボード (snowboarding)、スケート (skating)、スキー (skiing)、ダイビング (diving) などの競技ではどうだろうか。この場合には、瞬時に、大きな「回転速度 (rotational acceleration)」に達することが可能な人間、すなわち背の低い選手が優位だ。

 要するに、背の高さの優位性は、スポーツの種目によって変わるものだと言える。

4.不器用さ(Clumsiness)

 体を車にたとえてみると、よくわかる。走っている大型車はすぐに止まれないし、衝突したら、その衝撃も大きい。ある計算によると、「背丈が20%高くなれば、その人が地面に転んだとき、衝撃エネルギーは2倍になる」という。背が高いと、それだけ怪我(injuries)をしやすいのだ。
 
 「身長173cm以上の女性が、一生の間で、腰の骨を骨折する確率は、身長157cmの女性に比べて2倍になる」、という結果もある。

5.寿命と健康(Lifespan and health)

 イタリアの「サルジニア島 (Sardinia)」に、ヨーロッパで最も長寿の人が多いことで知られるVillagrande Strisaili (ヴィッラグランデ・ストリザーイリ)という小さな町がある。
 その地の「100歳以上の住民 (centenarians)」の平均身長は、約160cmとヨーロッパ人としては、意外と背が低い。背の低さも、長寿に関係しているのでは、と考えられているそうだ。

 背が高いと、それだけ体の「細胞 (cell)」が多くなり、細胞の「突然変異 (mutation)」すなわち「ガン (cancers)」の発症リスクが高くなる可能性もある。

 スペイン人 (Spaniards) 130万人を対象にした調査で、「大人の身長の値が1cm高くなるにつれて、寿命が0.7年縮む」という結果がある。

6.幸福度(Happiness)

   研究調査によると、背の高い人ほど、幸福感に溢れ、人生をより楽しんでいることが明らかになっている。それは、背の高いことが、「職業的な成功 (career prospectrs)」につながって、高額の収入を得ているためと考えられる。

7.むすび

  古くから言い伝えられて来た言葉 (the old adage)がある。

"It's not the size of your body that determines your fate, but the way that you use it."
[ 人の運命を決めるのは背の高さではない。その活かし方だ。]

 この記事で述べたことは、あくまでも統計的な傾向に過ぎない。例外もたくさんある。

 そして、最後は著者Mr David Robsonの腕の見せどころ。題名の「Tall vs short」に引っかけて、次のように締めくくる。
"And that's the long and the short of the matter."
[ これが要点の全て。]   

                                                                                           (写真は添付のBBC Newsから引用)
  

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