ストレス:スコットランドの鮭 (サケ)をも殺す? (BBC-News, September 30, 2015)
[ 昔むかしのこと、1人の漁師が、海の近くのあばら屋で妻と一緒に暮らしていました。そして毎日、漁(釣り)に出かけていました。]
"There was once upon a time a Fisherman who lived with his wife in a miserable hovel close by the sea, and every day he went fishing."
グリム童話の「The Fisherman and His Wife (漁師とその妻)」は、この一文で始まる。主役は、その妻と「ひらめ(flounder)」。
ところで、文中の「fishing」は「angling (釣り)」の意味だ。
15世紀、ドイツ語「angulaz」に由来する英語「angle」も「釣る」の動詞として使われた。数学で「angle」と言えば「角度」を指す。角度の語源はラテン語の「angulus」(かど、隅の意)。
辞書では、釣り「angle」と角度「angle」の2つを別項目で記載されるが、元は同じとする研究者もいる。
さて、スコットランドの「Anglers(釣り人達)」が、この秋の川の異変に驚いた。
海から「Allen Water」の流れを遡るサケの様子がおかしい。Dunbrane(ダンブレーン)の町とBraco (ブレイコー)の村近くの川で、サケが100匹も死んでいた。
早速、「スコットランド環境保護局 (The Scotish Environmental Protection Agency, SEPA)」に電話する。「川が、何かの毒物で汚染されて、サケが死んだのでは」、と。
ところが、当局が川の水質を調べたが、異常は認められなかった。その調査結果は次のとおり。
"Sepa officers have carried out an inspection of the river and believe the incident could have been caused by stress due to low flows in the watercourse during the migration offish upstream."
[ SEPS職員は川を調査した。それによると、川の水量が余りにも少なく、サケが苛酷なチョロチョロ流れを泳ぎ回っている間に、ストレスで死んでしまった可能性がある。]
脊椎動物は、敵から逃れて生き残るために、その「進化 (evolution)」の過程で、ストレスの感度を鋭敏に発達させた。しかし、とんだところで、それが仇になったのだ。
これも異常気象のせいなのか。それは、定かでない。しかし、今年は、川の水量が極端に少なく、サケが上流の産卵場所にたどり着けなくなっているのは事実だ。
(写真は添付のBBC Newsから引用)