統計データを分析すると、社会の階層や貧富の格差が、人の一生にどのように影響しているのかが見えて来る。
労働者階級が必ずしも貧困層とは限らないが、十数年前、イギリスでは労働者階級の人の身長が、中産階級の人よりも平均約 1 in (2.54 cm) 低いとする結果が報告された。
食べるものも十分に口にできない状況がどんなに惨めなことか、戦後のドサクサの中で育った人はよく知っている。
さて、「The Longevity Science Panel (長寿科学委員会)」は、Englandを 33,000の小区域に分割し、その地域住民の収入、健康、学歴、犯罪歴などを「The Office for National Statistics (イギリス国家統計局)」の 2015年データに基づいて分析した。
すると、ボトム 20%に属する貧困地域住民の死亡率は、トップ 20%の富裕地域の人に比べて 80%も高いことが分かった。また、2001年の調査の結果に比べると、貧しい地域とお金持ち地域の「平均寿命 (life expectancy) の差⊿」も、次のように拡大していた。
2015 2001
・boys ⊿8.4 ⊿7.2
・girls ⊿5.8 ⊿ 5.0
・60-year-old men ⊿5.0 ⊿4.1
・60-year-old women ⊿4.2 ⊿3.1 (単位:年)
平均寿命の差は、収入の他にも喫煙、肥満、飲酒、健康診断受診率、治療率などの因子も関与していると考えられる。
イングランド全体では、「ガン生存率 (cancer survival rates)」が上昇し、「喫煙率(smoking rates) は低下している。しかし、そのいずれの値も、社会の貧富の格差によって大きく異なっている現状が浮き彫りになった。
子どもには、なんの責任もないのに、貧困地域に生まれたばかりに、その寿命が 6 - 8年も短い運命にあるとは、なんという不平等なことか。
(写真は添付のBBC Newsから引用)