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北極グマ(白クマ):氷もエサもない夏の北極で苦難 (BBC-Science & Environmentl, July 16, 2015)

http://ichef.bbci.co.uk/news/872/cpsprodpb/9FA7/production/_84317804_c0207061-close_up_of_a_standing_polar_bear-spl.jpg

 その昔、今からおよそ15万年前のこと、北極グマ(Polar bear)の先祖(ancestor)は、日本のツキノワグマ(月輪熊Asian black bear)やカナダのヒグマ(brown bear)の親戚筋(relatives)と「袂(たもと)を分かつ旅をした。白い世界で目立たぬように、体毛を黒から白に変え、極寒の気候に耐え得るように、その皮下組織と血液組織まで進化(evolution)させた。

  北極グマにとって、長らく北極圏は、寒いながらも好物のアザラシ(seals)などが沢山獲れる、静かな楽園の地であった。北極グマは「氷と雪の国の王」の暮らしができたのだ。
  しかし、ひょこり現われた人間が気候を変え始め、気がついたときには、氷もなく、食うものにも事欠く始末。とうとう、2008年、アメリカ政府が絶滅危惧種(threatened species)のレッドリストに指定するほどまでに、個体数を減少させてしまった。 

  そこまで、北極グマを追い詰めた最大の要因は、温暖化が引き起こした氷の減少。
 北極(Arctic)は、南極(Antarctic)とは違う。夏になり、海氷が溶けたら、アザラシも北極グマも体を休める場所が消えてなくなる。北極グマは氷の上でアザラシを待ち、少なくとも一週間に一頭は捕獲しないと生きていけない。

 この危機的な状況にあって、北極グマに残された最後の戦略が、「移動冬眠(walking hibernation)。生命を維持するための代謝(metabolism)は低下させるが、通常の冬眠(hibernation)とは違い、眠らない。厚い皮下脂肪に蓄えたエネルギー源を使って、ひたすら獲物(prey)を探す。

 研究によると、北極グマは岸から640kmも離れた氷を目がけて泳ぎだし、9日間かけて冷たい氷の海を泳ぎ切ったという。その数週間後に、再度、調査対象の北極グマを捕獲し、体重を計測したところ、22%も減量していることがわかった。皮下脂肪がエネルギー源として使用されている証拠だ。

 北極グマが、今欲しいものは、生きるための、ほんのわずかなアザラシと、白く冷たい透明な氷。それに、まともな一眠り、まともな冬眠(hibernation)だ。

              (写真は添付のBBC Newsから引用)
                        

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