「西洋料理店 (Restaurant)」:注文の多い、カロリーの高いメニュー店! (BBC-Health, December 13, 2018)
その2人の若い男は、イギリスの兵隊の恰好をし、肩にはピカピカの鉄砲を担(かつ)いでいた。そして2匹の白い猟犬を従えて、森の奥深くへと獲物を探して踏み込む。すると、突然、目の前に現われたのは、りっぱな西洋風の建物。その玄関には看板が掲げられている。近づいて見ると、英語と漢字で次のように書かれていた。
RESTAURANT
西洋料理店
WILDCAT HOUSE
山猫軒
ご存じ、宮澤賢治 (1986-1933)作「注文の多い料理店」の一場面だ。
宮澤賢治が活躍した時代は明治・大正。その頃、「Restaurant (レストラン)」で食事ができる人は、ごくごく一部の限られた裕福な人だったに違いない。東北の田舎 (いなか)では、「レストラン」という言葉さえ、聞いたことのない人が多かったはずだ。
今では、どんな田舎の人でも、少なくとも一度は「西洋料理店 (レストラン)」で食事をし、さらには、スマホで、テーブルの上の料理を撮影して楽しむことさえ、やってのける。なんとも、贅沢ができる世の中になったものだと、驚く。江戸時代以前には、全国至る所で、何度も深刻な飢饉に見舞われ、明治以降、とくに戦後も、ずいぶんと、ひもじい思いをした日本人だったのに......。
一般庶民の食糧事情は、イギリスとて、それほど変わらない。戦中、戦後は、皆、つましい食事を余儀なくされた。
しかし、今は、クリスマス休暇のこの時期、街のどの「restaurants (レストランン)」、「first-food chains (ファースト・チェーン店)」も、外食を楽しむ人々で大賑わいを迎える。 さて、その外食。体にとって、本当に問題がないものか。
Liverpool大学の Dr Eric Robinsonらの研究グループは、UK全域の「restaurants」、「first-food chains」で提供されているメニュー13,500種について、どれだけのカロリーが含まれているのか、調査した。
なお、「Public Health England (イングランド公衆衛生局)」が推奨する、健康的な食事のカロリー摂取量は、一食当たり600kcalを越えないこと。
ところが、Dr Robinsonらが調査した結果、外食で口にするメニューの90%は、この基準を超えていた。とくに、レストランのメニューには、1,000calを超えるものが多かった。ただし、調査の対象はメイン・ディッシュだけで、「drinks (ドリンク類)、「starts (前菜)」,「desserts (デザート)」,「side orders (追加注文)」は除かれた。
一方、ファースト・フード店で最もカロリーの高いメニューーを提供していたのは「ケンタッキー・フライド・チキンKFC」チェーン店。その平均値は 987kcalだった。
さらに、ハンバーガー、サラダをレストランで食べると、ファースト・フード店に比べて、それぞれ 414kcal, 142kcalも余分にカロリーを摂取することも分かった。
同じようなメニューを注文しても、レストランとファースト・フード店で、摂取カロリーに差が生じるる理由について、レストラン側は、一人前の量 (portion size)、料理の素材 (ingredients)、料理の仕方 (cooking methods)などが違うためと説明する。
Dr Robinsonは、外食する際には、摂取カロリーの摂り過ぎに注意することを勧める。さらに、自宅から出前を注文する人は、食べ過ぎの他に、運動不足にもなりがちだ。動かないで、食べてばかりでは、健康に良いはずがない。
なお、イギリス政府は、2019年度中に、レストラン、持ち帰り店、カフェんなどで提供される全てのメニューに、カロリー表示を義務づける案を検討中とか。
(写真は添付のBBC Newsから引用)