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世の中「ジーキル博士とハイド氏」だらけ:裏も表もある謎の生命体 (BBC-Science & Environment, September 11, 2018) 

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 どこからともなく現われて、良いこともすれば、悪いこともする。薬にもなれば、毒にも麻薬にもなる生命体 (organisms)。その仲間は推定380万種。地球上のほとんどの空間に存在するが、その 90%ば名前さえ知られていない。それは一体、何ものか。

 答えは「fungi (菌類)」。キノコやカビ・酵母などの生命体だ。それは、植物よりも動物に近く、菌類の細胞壁 (cell walls)からは、甲殻類のロブスター・カニと共通の化合物が見つかっている。しかし、その生態は十分に解明されていない。

 ある種の菌類は、植物が地中から水分や養分を吸収しやすいように働き、また別な種は廃プラスチックの分解を早めるなど、菌類は地球上の全ての生命サイクルにとって、無くてはならない役目を果たしている。

 それにキュウリ・ゴーヤ・ナスなどの野菜を数段美味しくしてしまう「糠浸け」は、乳酸菌に頼るところが多く、蜂蜜酒 (mead)つくりに使われる酵母 (yeasts)には9,000年の歴史がある。とにかく、人類との間には食を通して長いつきあいがあった。

 一方、秋はキノコ狩りのシーズン。その秋の味覚のキノコも、菌類にとっては、地上の舞台に躍り出た晴れ姿だ。1本数十万円もする「トリュフ (truffles)」は別格にしても、世界中に出回る約350種のキノコは年間 £32.5 bn (約4兆7,100億円)の市場だ。

 また、「filamentous fungi (糸状真菌)」から合成される「itaconic acid (イタコン酸)」は、プラスチック自動車部品、合成ゴム、レゴ・ブロックの原材料となり、最近では、「農業廃棄物 (crop waste)」から菌類を使って「bioethanol (バイオエタノール)」までつくられている。

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 さらに、世界最初の抗生物質ペニシリン」が青カビからつくられて、これまで多くの人命を救ったことは、よく知られている。

 ただし、植物・樹木や農産物、それにカエルなどの両生類にへばりついて壊滅的な病気をもたらし、死に追いやるのも菌類だ。
「The Royal Botanic Gardens, Kew (英王立植物園、キューガーデン」)」のDr Ester Gayaによると、菌類は、まさに R. L. Stevensonが描いた「Dr Jekyll and Mr Hyde (ジーキル博士とハイド氏) 」そのもので、善と悪と兼ね備えた性格。いや、善と悪のどちらの世界も支配する「fungi kingdom (真菌王国)」を形成しているのかもしれない。(なお、菌類に関するRBG Kewの研究結果は「State of the World' s Fungi」報告書としてまとめられた。)

 菌類の専門家 Dr Brian Douglas は「Fungi are as beautiful as orchids. (菌類は蘭のように美しい)」と絶賛する。その美しさの一部は、次の一冊で確認できる。

・PIE BOOKS: きのこ絵、パイ インターナショナル、2012

                                       (写真は添付のBBC Newsから引用)

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